「ドイツにサッカー部は存在しない」 日本との育成環境の違いが興味深い

今年末のワールドカップで日本と対戦するドイツ。日本とは育成年代でどのような違いがあるのか。

ドイツでB級コーチライセンスを取得し、日本のユース年代で監督などを歴任してきた影山雅永さんがその違いを語った。

現在、JFAユース育成ダイレクターを務める影山さんは、JFAのロールモデルコーチである内田篤人の“先生”ともいえる存在。2人はDAZNの『FOOTBALL TIME』で共演するとざっくばらんな口調で様々な話題について語り合った。

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日本には部活動とクラブユースが存在するが、影山さんによれば、ドイツにサッカー部はないそう。

「(ドイツにサッカー部は)ない、全てクラブ。

(日本とドイツ、どちらがいいのか?)

戦後日本の教育とか、色んな社会ができてきて、そのなかで学校が大事だとなって。

僕らにとっては普通だけど、学校のなかにグラウンドや体育館、プールがあるのは日本だけ、こんなあるのは。

ドイツとかイングランドの人が来日すると、『日本はサッカー場がないって言ってるけれど、どこにもであるじゃないか!』と欧州の人は必ず驚く。

だって、ドイツの子供たちは体育の水泳の授業は、近くの市民プールまで皆でぞろぞろ歩いていって、また戻ってくる。午前中で学校は終わって、夕方からスポーツクラブに行ってというのが普通。

どっちがいい悪いではなくてね。僕らはそういう歴史と教育、社会のなかで出来上がってきたので、日本ならではのものだと思いますね。

(そういう点が日本の)いいところとも言えるけれど、でも、メリットばかりではなくて、6-3-3という(小中高)教育システムのなかで部活動は区切られてしまっているので。

例えば、僕もだったけれど、中学校3年で夏の大会が終わると受験で半年間できなかったりするでしょ。そういうものをどうしようかと考えながらやっているところですよね」

「(日本では部活とクラブチームが分断されていたが、2011年以降に高円宮杯など交流するリーグ戦ができた)

リーグ戦っていうのはなかったんですよ、日本のいかなるスポーツのなかにも。全部トーナメントで。

トーナメントで戦っていくと、全国大会に出られればいいけれど、県からずっとトーナメントだと1回負けたら終わっちゃうじゃないですか。

高体連ってだいたい4000チームかな、4000チームあっても、1回戦が終わると2000チームが終わっちゃう、活動が終わってしまう。

それと、1回負けると終わりだから、そういう大会に出るとなると負けないようにする。負けてもいいやって負けちゃうとその後が全部なくなっちゃうから、負けないようにサッカーしちゃうでしょ。

ずっと守って耐えたりだとかってなると、その年代年代で身につけてもらいたい技術とか戦術とか、それから、日本は得点力不足だって言われているけれど、攻撃でどうやってゴールに向かっていくかみたいなものには蓋をして触れないで、とにかく守ろうっていうメンタルになっちゃうでしょ。

なので、勝っても負けても次に試合がある、そうすると選手だけじゃなくて指導者も1週間しっかり考えてトレーニングをして、これを指導者養成的にはMTMっていうんですよ(試合→練習→試合のながれをひとつにまとめて考えるmatch training match)。

できたら、2個目のmatchはbetter matchになっていたいよねっていう。そういうのを繰り返していくと、選手と指導者も成長できるよねっていうので、リーグ戦ができた。

でもね、リーグ戦ができるまでは、それまでは色んな大会があったから、リーグ戦って長いでしょ。

これを作ろうって言った時にも本当に大変だったらしくて、当時の方々は。

リーグ戦をやろうって言い出したら、反対するので、今までにないものを作ろうとするので。なので、構想を出してから、10年くらいかかったって。今の形になるまで。

本当にたくさんの方々や、地域の方々と色んな話し合いをして、ようやく出来上がった(と聞かされた)」

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