トヨタ7号車の小林可夢偉、僅差でチームメイトを下しポールポジション獲得/WEC第5戦富士予選レポート

 9月10日(土)、静岡県の富士スピードウェイでWEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースの予選が行われ、トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が可夢偉のアタックにより総合トップタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。

■LMGTE:ポルシェ初ドライブの木村武史が健闘

 FP3のセッション終了から3時間あまり。土曜日の富士スピードウェイは好天が続き、太陽が照りつけるなか、14時40分に気温27度/路面温度41度というコンディションでLMGTEの10分間の予選セッションが始まった。

 開始と同時にブロンズドライバーがアタックを行うアマクラスの車両がほぼ一斉にコースイン。チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19では木村武史が、Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMRでは星野敏がステアリングを握っている。やや遅れて、LMGTEプロクラスの5台がコースインしていった。

 LMGTEプロのファーストアタックでは、ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19をドライブするミカエル・クリステンセンがトップタイムを記録。これにAFコルセ51号車のジェームス・カラド、91号車ポルシェのジャンマリア・ブルーニ、52号車フェラーリのミゲル・モリーナ、64号車コルベットのニック・タンディと続く。

 そのあとは各車クールダウンを挟みつつ走行を続けるが、4周目に64号車がタイムアップしいったんは4番手に浮上したものの、52号車がすぐに逆転してポジションを奪い返したほかは、タイム更新はなかった。これにより、ポルシェ92号車がクラスポールポジションを決めた。

 LMGTEアマクラスではセッション序盤、AFコルセ71号車フェラーリのフランク・デゾトーが首位に。Dステーションの星野はファーストアタックで3番手につける。

 その後、アイアン・デイムス85号車のサラ・ボビーがトップに立つが、4周目にTFスポーツ33号車アストンマーティンを駆るベン・キーティングが1分39秒313と上回り、トップに。キーティングはさらに翌周タイムを縮め、GTEアマのクラスポールを決めた。

 56号車ポルシェの木村は5周目にマークしたタイムで6番手に。LMGTEのポルシェ経験2日目にして大健闘の結果となった。

予選でLMGTEプロクラスの最速タイムをマークしたポルシェGTチームの92号車。アタックを担当したミカエル・クリステンセン(左)とケビン・エストーレ
チーム・プロジェクト1・56号車ポルシェのアタックを担当した木村武史
LMGTEアマクラスで予選最速となったTFスポーツの33号車アストンマーティン・バンテージAMR

■ハイパーカー&LMP2:トヨタ2台の差は0秒020

 10分のインターバルを挟み、15時にハイパーカー&LMP2のセッションが始まると、23号車のアレックス・リンを先頭にLMP2の各車がコースインしていった。

 全車がオレカ07・ギブソンというパッケージで争われるLMP2クラスでは、ファーストアタックでJOTA38号車のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタがトップに立ち、WRT31号車のロビン・フラインス、AFコルセ83号車のニクラス・ニールセンが続く展開に。

 その後はニールセンがさらにタイムを縮めて2番手に浮上する。その後方ではベクター・スポーツ10号車をドライブするセバスチャン・ブルデーが4番手に浮上してきた。

 LMP2ではセッション終盤にもタイムアップが相次ぎ、WRT31号車のフラインスが最終ラップに3番手へと浮上したのに続き、僚友のリアルチーム・バイ・WRT41号車を駆るフェルディナンド・ハプスブルクも4番手へとジャンプアップを果たした。

 しかしチェッカー後にフラインスの最終ラップのタイムが削除となり、この結果LMP2上位はJOTA38号車、AFコルセ83号車、リアルチーム・バイ・WRT41号車、WRT31号車、ベクタースポーツ10号車という並びとなっている。

LMP2クラスでの最速タイムを記録したJOTA38号車のアントニオ・フェリクス・ダ・コスタ

 ハイパーカーの5台は、LMP2クラス勢のコースインから半周ほど遅れたタイミングでピットアウト。プジョー93号車のジャン・エリック・ベルニュ、アルピーヌ36号車のマシュー・バキシビエール、トヨタ7号車の小林可夢偉、プジョー94号車のロイック・デュバル、トヨタ8号車のブレンドン・ハートレーという順でコースインしていった。

 2周目(計測1周目)のアタックを終えてトップに立ったのは7号車の可夢偉。1分29秒234をマークし、これに8号車ハートレーが1分29秒265で続いた。プジョーの2台は1分30秒台と、トヨタ勢に及ばない。

 アルピーヌのバキシビエールは3周目に最初のアタックを行うと、1分29秒446とプジョー勢を上回って3番手に入った。

 トヨタの2台は1周のクーリングラップを挟み、ポールポジションを決するべく再度アタックを敢行。ここでは可夢偉が1分29秒271とわずかに自己ベストに届かなかったのに対し、ハートレーは1分29秒254とわずかにタイムを縮めた。しかし可夢偉のタイムにはわずか0秒020およばず、7号車と小林可夢偉のポールポジション獲得が決まった。

 2番手にトヨタ8号車、3番手にアルピーヌ36号車、以下プジョー93号車、94号車と続く総合上位勢の予選結果となっている。

 予選セッションを終えた富士6時間レースはいよいよ9月11日、午前11時にスタートのときを迎える。

予選アタックへと向かうプジョー・トタルエナジーズの94号車プジョー9X8 ロイック・デュバル
ブレンドン・ハートレーのアタックにより予選2番手となった8号車GR010ハイブリッド
アルピーヌ36号車の予選アタックを担当したマシュー・バキシビエール
予選ポールポジション獲得を喜ぶトヨタ7号車GR010ハイブリッドの小林可夢偉

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