モンツァの大クラッシュのおかげ? “トップアマ”のベン・キーティングが今季3度目のクラスポール獲得/WEC富士

 WEC世界耐久選手権のLMGTEアマクラスに参戦しているベン・キーティングは、7月の第4戦モンツァにおける大クラッシュが、9月10日に行われた第5戦富士予選でのポールポジション獲得に貢献したと述べている。

 マルコ・ソーレンセン、エンリケ・シャベスとTFスポーツの33号車アストンマーティン・バンテージAMRをシェアするブロンズドライバーのキーティングは、富士でシーズン3度目となるクラスポールポジションを獲得した。

 富士で走っているシャシーは、TFスポーツが本来ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズで走らせているシャシーのうちのひとつであり、オリジナルのWECシャシーがモンツァのレースでの宙を舞う大クラッシュで大きく損傷したため、日本へと送られたものだ。

宙を舞い、逆さまになって着地したあと、さらに横転したTFスポーツの33号車アストンマーティン

■僅差の予選を左右したのは“10kg”?

 キーティングは、モンツァの結果を受けたサクセスバラストの軽減が、富士の土曜日の10分間の予選で最速タイムを出すことの助けになった、と示唆している。

 TFスポーツは第2戦スパでの2位(+10kg)、第3戦ル・マンでの優勝(+15kg)、GTEアマ選手権の首位(+15kg)というリザルトにより、モンツァでは40kgのサクセスバラストを搭載して走行していた。

 サクセスバラストは直近2レースの成績+ランキング順位によって決まるため、モンツァでノーポイントに終わった彼らは、スパでの順位による10kg分を下ろして、富士へと挑める状況になった。

「とてもタイトになることは分かっていた」とキーティング。

「ル・マンでの勝利によって、チャンピオンシップをリードする余裕が生まれた。しかしモンツァでのアクシデントの後、それは4ポイントにまで縮小されてしまったんだ」

「ピットで予選の開始を待つ間、この1点がチャンピオンシップにおいてどれだけの違いを生み出すのかを考えていたんだ。予選前に少しマシンに変更を加えたので、そういうときは少しナーバスになるものだ」

「GTEアマカテゴリーでは、サクセスウエイトがある。だけど、モンツァのアクシデントによって、それが10kg軽減できたことは、明るい兆しでもあった」

「予選2番手のサラ(・ボビー/アイアン・リンクス)は、10kgが追加された。その重量の差が、おそらく予選タイムの差になっていると思う。彼女はモンツァで本当に速かったし、ここ富士でも本当に速かった。楽しいバトルだね」

予選でLMGTEアマクラスのポールポジションを獲得したTFスポーツのベン・キーティング(中)

 ポールポジションは獲得したものの、キーティングはTFスポーツの33号車がレースではさらに強力な存在になると考えている。

「僕らは、本当に良い、安定したレースカーを持っていると思う。予選はどういう結果になるのか分からなかったけど、コンマ1秒の差でポールを獲得できたことは、とてもうれしい」

「でも、僕らはレースでは常に速くて競争力のあるマシンを手にしていることが分かっているので、とてもいい気分だ。僕の役割は、すべてのダイブプレーンが揃い、スプリッターの底に傷がない状態で、チームメイトにマシンを託すことだと感じている」

「前の方で、素晴らしく、クリーンで一貫した走りができることを望んでいる」

「僕がリードすることになれば、それは素晴らしい。トップ5のどこかにいれば、それで問題はない。マシンを長く走らせれば、良いレースができると思っている」

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