手の指にしびれ…続く症状、病院の何科を受診すれば 原因や治療法を医師が解説

手の指にしびれ…1カ月続く症状、病院の何科を受診すれば 原因や治療法は

 1カ月前に突然左手の人さし指、中指、薬指だけがしびれ始めました。今でも症状が続いています。他には症状はありません。何科を受診したらいいのでしょうか。また、どんな手当てをしたらよいのか教えてください。(福井市、80代男性)

【お答えします】山内大輔・県済生会病院整形外科副部長

手根管内の神経圧迫でしびれや痛み

 症状をお聞きすると診断名は「手根管(しゅこんかん)症候群」だと思います。

⇒パソコン業務で指の関節に続く痛み…原因や治療法を医師が解説

 手根管症候群は、母指(ぼし)(親指)・示指(じし)(人さし指)、中指・環指(かんし)(薬指の母指側)のしびれや痛みを生じる病気です。このしびれ・痛みは明け方に強く、痛みで目が覚める時もあります。手を振ったり、指を曲げ伸ばしたりするとしびれ・痛みは楽になることがあります。ひどくなると母指の付け根の筋肉(母指球筋)がやせてしまい、細かいものがつまみにくくなります。

 原因は分からない場合が多い(特発性と呼ばれます)ですが、妊娠・出産期や更年期の女性に多く生じるため、何らかのホルモンバランスの乱れが関与していると考えられています。そのほか、手首周辺の骨折や、人工透析をしている人などにも生じます。

 手根管とは手関節部(手をついて立ち上がる時に地面につく部分)にある骨と靭帯(じんたい)(横手根靱帯)で囲まれた伸び縮みのできないトンネルで、その中を1本の正中神経と指を曲げる9本の屈筋腱(けん)が通っています。この正中神経が何らかの原因により圧迫されると、正中神経の支配領域(母指・示指、中指・環指)のしびれ・痛みと母指の動かしにくさが生じてしまいます。

生活に支障ある場合は手術も

 診断方法は、手首(手根管)を固いものでたたくとしびれ・痛みが指先に響きます。また、両方の手首を直角に曲げて手の甲同士を合わせ、しびれ・痛みが悪化すれば手根管症候群の可能性が高くなります。機械を使った検査として神経伝導速度検査があります。これは皮膚の上から正中神経を刺激して、神経の信号の伝わりやすさを計測する検査です。まれですが手根管内に何らかのできもの(軟部腫瘍)が発生し、正中神経を圧迫する場合があります。この場合は、超音波検査(エコー)やMRIなどの画像診断を行うことで診断が可能です。

 痛み・しびれが強い場合や母指(親指)が動かしにくくて生活に支障が生じている場合は手術療法を選択することもあります。手術は手根管を形成している靭帯(横手根靱帯)を切って圧迫を除去します。

 これまでに記した症状があるときは近くの整形外科医に相談されることをお勧め致します。  

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