愛犬が体を痒がる原因は? 皮膚疾患になりやすいシーズー、脂漏症や皮膚炎の管理方法【ペットドクター相談室】

よく身体を痒がる??シャンプーは月に1回ほどしかしないのが原因?(シーズー、ミルクさんの相談)【お答えします】福井県獣医師会 開業部会 柴田動物病院(福井県福井市)高木智子獣医師

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 愛犬が痒がっているのは、動物本人のストレスはもとより、見ているこちらも辛いですよね。皮膚は外部環境から身体を保護する器官であるため、環境の影響を受けやすく、特に夏場の高温多湿になる季節は、気温の上昇、紫外線などの要因が絡み合って痒みが悪化するケースがよく見受けられます。

 相談者様の愛犬はシーズーとのことですが、アニコムホールディングス株式会社の発行する『アニコム 家庭どうぶつ白書2021』によると、シーズーの保険請求額の第2位が「脂漏症(しろうしょう)」、第6位が「マラセチア性皮膚炎」で、シーズーの請求額全体の43.8%を占めています。これは、全犬種の平均(約25%)と比べて高く、シーズーが皮膚疾患になりやすい犬種ということがよく分かりますね。

 また、アトピー性皮膚炎やアレルギー、内分泌疾患といった基礎疾患を持っていて、それらがさまざまな要因で悪化することで痒みがひどくなることもあります。

 いずれの疾患も、見た目や痒みの程度、場合によっては皮膚の検査や血液検査をして痒みの解決に向かいます。

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皮脂が過剰分泌…脂漏症はシャンプーで管理

 先に挙げた「脂漏症」は、皮脂が過剰分泌されてしまっている状態で、シャンプーでの管理が一般的です。しかし、シャンプー後の水分蒸散により角質から水分が失われて乾燥し、いわゆる“インナードライ”の状態になることで、それを補おうと皮脂過剰になることもあり、シャンプー後の保湿剤の併用も重視されてきています。

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マラセチア性皮膚炎、抗菌薬や痒み止めが必要なケースも

 「マラセチア性皮膚炎」の原因であるマラセチアという酵母菌は常在菌ですが、皮脂を好むことから脂漏症に続発することがあります。掻くことで皮膚環境が悪化し、さらに症状がひどくなることもよくあり、あまりに菌が増えすぎている場合は、抗菌薬や痒み止めのお薬が必要になることがあります。

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シャンプーの頻度は月に何回がおすすめ?

 さて、相談者様のシーズーさんは身体を痒がるとのことですが、全身まんべんなく痒いでしょうか。それとも、どこか一部を執拗に痒がるでしょうか。シャンプーはどんなものをお使いでしょうか。

 一口にシャンプーと言ってもさまざまあり、我々獣医師も市販のものなどは全て把握しきれないというのが正直なところです。今の皮膚に合ったシャンプーかどうか、一度かかりつけの先生とご相談されることをお勧めします。通常時は月1回程度としていますが、皮膚病がひどいときは週2回をおすすめしています。皮膚の状態によって違うため、一概に何回が適切かは言い切れませんが、シャンプーの頻度を上げたり、食餌の変更やお薬を服用したりすることによって改善するかもしれません。

 

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