トラブル修復し2台完走のプジョー9X8「バランスは完璧」とロシター。デュバルは「少し悔しい」/WEC富士

 WEC世界耐久選手権第5戦富士6時間レースで、デビュー2戦目を戦い終えたプジョー・トタルエナジーズ。決勝レースでは2台のプジョー9X8ともにトラブルが発生したが、このレースを車両開発における新たな重要ステージと位置付けていた彼らは、「チームが大きく前進したことを確認するものだった」と総括している。

 予選ではハイパーカークラス5台のうち、4番手と5番手となったプジョー。レースではポール・ディ・レスタ/ジャン・エリック・ベルニュ/ミケル・イェンセンの93号車が総合4位、ジェームス・ロシター/ロイック・デュバル/グスタボ・メネゼスの94号車が総合20位でフィニッシュした。

 レースの最初のピットストップでは、チームのメカニックは正確な作業を行い、94号車が3番手へと浮上した。

 しかし2時間が経過したところで、デュバルのドライブする94号車がエンジントラブルによりピットへと戻ることとなり、解決に20分の時間を費やした。その後、ディ・レスタがステアリングを握った際にも、93号車が同様の問題に見舞われた。

 さらに94号車は、エネルギー使用量を超過したことによるストップペナルティを受け、遅れることとなった。

 チームはこの6時間レースを「プジョー9X8とチーム全体の開発における重要なマイルストーン」であった、と総括。11月のシーズン最終戦バーレーン8時間レースに向けては、さらなるテストが予定されているという。

 プジョー・スポールのテクニカル・ディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーは、「富士6時間レースでは、チーム、メカニック、エンジニアが、モンツァ以来、かなりの進歩を遂げたことが明らかとなった」とコメントしている。

「初戦で経験した信頼性に関する問題はすべて解決し、富士での2日間の練習走行とレースの最初の2時間は何事もなく過ぎた」

「この調子でバーレーンに向けて前進していければ、非常にポジティブだと思う。日曜日のレースでは最初の2スティントで良いペースを見せることができたので、これからはパフォーマンスを上げることに集中するつもりだ」

「2台とも同じような問題を抱えていて、タイヤの挙動や使い方なども改善しなければならない」

93号車プジョー9X8 2022年WEC第5戦富士6時間レース

 93号車のドライバー、イェンセンは「9X8で初めてダブルスティントを行ったが、これはモンツァではできなかったことだ。全体的に、富士の週末はポジティブだった。2台のマシンは同じ問題の影響を受けたので、パフォーマンスを上げるための作業が必要だ」とコメントしている。

 94号車のスタートドライバーを務めたロシターは「9X8のバランスは完璧で、楽しいスティントを過ごすことができた」と述べている。

「GTマシンを避けるためにコースを外れたことを除けば、とてもポジティブな時間だった。モンツァ以降、マシンは本当に進化しているので、チームのみんなに感謝している」

 また、デュバルは2台を襲ったトラブルについて「表彰台を狙えたと思うので、少し悔しい」と振り返った。

「予選と比べると、レースでの僕らのペースには少し驚かされた。ライバルとのギャップを縮めることができたし、タイヤ温度のウインドウについても、理解が深まった。まだ学ぶべきことは多いけどね」

プジョー・トタルエナジーズのロイック・デュバル

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