母国1-2達成のトヨタ、選手権首位タイで最終戦へ「亮が素晴らしい走りをしてくれた」とブエミ/WEC富士

 9月11日、静岡県の富士スピードウェイでWEC世界耐久選手権第5戦『富士6時間耐久レース』の決勝が行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)が走らせる2台のハイパーカー『トヨタGR010ハイブリッド』8号車と7号車がワン・ツー・フィニッシュを飾った。

 2019年以来、3年ぶりの開催となったWEC富士ラウンド。ワールドチャンピオン獲得のためにも必勝態勢で臨んだTGRは、GR010ハイブリッドにとっての初レースであり、ル・マン24時間の勝利を持って臨んだ凱旋レース“ホーム”富士でのWEC戦を見事な勝利で祝うことに成功した。

 朝から晴天に恵まれた決勝日の11時、母国の多くのファンに見守られるなか、小林可夢偉駆る7号車(マイク・コンウェイ/可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)がポールポジションから隊列を率いて6時間のレースをスタートしていく。7号車はレース序盤、2番手スタートの僚友8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)との僅かな差を保ったまま周回を重ねていくが、双方とも左側2本のみのタイヤ交換を行った最初のピットストップ後の64周目に8号車のブエミに先行を許す。

 スタートから2時間を経過したところで7号車はロペス、8号車はハートレーへとドライバーチェンジ。この2度目のピット作業を終えた時点で、2台のギャップは6秒前後となった。その後、8号車と7号車のタイム差は徐々に拡大していく。

 その差が約30秒となったレース終盤、8号車はハートレーから平川にスイッチ。7号車にはコンウェイが乗り込んだ。この時点で3位の36号車アルピーヌA480・ギブソンに約1周差をつけていたTGRは、着実にポジションを守ったまま2台揃ってチェッカーを受けるべくペースをコントロールしていく。

 そして、最後はセーフティカーやフルコースイエローが出なかったレースで232周を走り切った8号車がトップチェッカー。平川に続き7号車のコンウェイも8号車と同一周回、1分8秒382おくれの2位でチェッカーを受け、TGRは今季3勝目と2度目のワン・ツー・フィニッシュを果たした。

 この結果、TGRはマニュファクチャラーズタイトル争いで、今大会3位に終わったアルピーヌとの差を26ポイント差に拡げ、ドライバー選手権でも8号車の3人が36号車アルピーヌのトリオと同じ121ポイントで並んだ状態で11月10~12日に開催される最終戦バーレーンを迎えることとなった。

 チームのホームラウンドである富士で見事、ワン・ツー・フィニッシュを達成したTGRドライバーのレース後コメントは以下のとおりだ。

レースの序盤をリードした7号車トヨタGR010ハイブリッド 2022年WEC第5戦富士6時間

■7号車トヨタGR010ハイブリッド(予選1番手→決勝2位)

●小林可夢偉

「富士6時間は非常に重要なレースであり、今日の結果はTOYOTA GAZOO Racingにとってこれ以上のない最高のものになりました。チーム全員がこのレースのために懸命に働き、ミスのない戦いで素晴らしい結果に結びつけてくれました。皆を誇りに思います」

「ハイパーカーの争いは非常に熾烈なものでしたが、我々自身のレースは非常に順調で、力強いパフォーマンスを見せることができました。この結果はチームの努力、そして、トヨタの関係者やすべてのパートナーのサポートのおかげです。応援してくれたファンの皆さまにも感謝しています。今日のような好天の下、また富士スピードウェイでのWECレースを戦えたことを素晴らしく思います」

「これでひとつ肩の荷が下りましたが、次はバーレーンでの戦いが待っています。ドライバーとマニュファクチャラーの両タイトル獲得へ向け、努力していきます。我々にとって重要な目標であり、集中力を切らさずにベストを尽くしていきます」

●マイク・コンウェイ

「今日チームは素晴らしい仕事をしてくれて、目標だったホームレースでのワン・ツー・フィニッシュを果たすことができた。ル・マンを終えてからは、富士が我々にとってもっとも重要なレースだったので、チームにとって完璧な結果となった」

「今日、我々7号車はクルマのパフォーマンスを最大限引き出すことができなかった。8号車の方が我々よりも少し速く、彼らには敵わなかったが、我々もミスのないクリーンなレースを戦った」

「優勝した8号車は見事な戦いぶりだった。TOYOTA GAZOO Racingとすべてのパートナーの皆さまへ祝福を送りたい。レースウイークをとおして応援してくれたファンの皆にも感謝している」

●ホセ-マリア・ロペス

「チームにとって最高の結果だ。このレースは我々にとってとても重要であり、そのためにずっと努力を続けてきた。ラップタイムだけを見ているだけでは、今日のハイパーカークラスの戦いがどれだけ大変だったかというのはわかりにくいと思う。チームは完璧なレースをしてくれて、本当に満足している」

「勝った8号車『おめでとう』。もちろん我々は勝てなかったので最高にうれしいというわけではない。しかし、我々にも良いスティントはあったし、これがレースというものだ」

「今年は我々7号車にとっては厳しいシーズンとなっているが、最終バーレーン戦では最高のかたちで締めくくり、チームのふたつのチャンピオン獲得に貢献できるよう頑張りるよ」

■8号車トヨタGR010ハイブリッド(予選2番手→決勝1位)

●セバスチャン・ブエミ

「3年ぶりのTOYOTA GAZOO Racingの母国レースで勝つことができ、とても良い気分だ。我々はクリーンなレースを戦い、ミスなく、すべてを完璧に行った。ピット作業も素晴らしく、全部予定どおりにいった。この最高の結果をともに勝ち取ったチームには本当に感謝しているし、とくに亮はこの週末、素晴らしい走りをしてくれた」

「我々にとって最高の結果で、ドライバーズランキング首位タイに並べたことで、タイトル獲得の大きなチャンスとともにバーレーンへと向かうことになる。シーズン最終戦も今日のようなレースが再現できるよう、ベストを尽くすよ」

●ブレンドン・ハートレー

「今日のGR010ハイブリッドは本当に最高のクルマで、レースは信じられないほど順調だった。こんなことは滅多にないんだ。我々8号車は、路面温度が高くなることを見越してセットアップを変更し、それが効を奏したことで、チームメイトの7号車よりも少し速さがあった」

「スタートを担当したセブ(セバスチャン・ブエミ)が力強い走りで首位に立ち、それを引き継いだ僕が後続とのギャップを拡げることができ、そして、最後を担当した亮も良い走りを見せてくれた。すべて完璧でうまくいったレースのひとつになったよ」

「強かったドライバーと同様に、最高の働きをしてくれたエンジニアチームとメカニックにも本当に感謝している。このかたちで最終戦バーレーンでのチャンピオン争いに臨むというのは最高の展開だ」

●平川亮

「富士は私にとってホームコースであり、レースキャリアを築き、育ってきたコースでもあります。それだけにここでの世界選手権で勝てて感無量です。ル・マンでの勝者としてここ富士にやってきて、自分の母国レースでの勝利を切望するとともに、プレッシャーも感じていました」

「しかし、チームが素晴らしい仕事で応えてくれました。私自身の2回のスティントは楽しんで走ることができましたし、チェッカーを受けたときは最高の気分でした」

「これでランキング首位タイに並んだので、この勢いを活かしてシーズン最終戦に臨みたいと思います。今夜はこの最高の瞬間をじっくりと味わい、そして、バーレーンでのタイトル獲得へと意識を切り替えます」

“ホーム”富士でワン・ツー・フィニ“ホーム”富士でワン・ツー・フィニッシュを達成したTOYOTA GAZOO Racingのドライバーたち 2022年WEC第5戦富士6時間ッシュを達成したTOYOTA GAZOO Racing

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