稲垣吾郎、不登校の息子持つ父親に 新垣結衣は特殊性癖隠して生きる役 朝井リョウ原作「正欲」映画化決定

朝井リョウの小説「正欲」が、岸善幸監督、稲垣吾郎、新垣結衣出演で、映画化されることが発表された。現在撮影中で、10月下旬にクランクアップの予定。2023年に劇場公開される。

原作小説は、朝井リョウが作家生活10周年に書き上げ、「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語る作品。2021年3月に発売されると、家庭環境、性的指向、容姿といったさまざまな”選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマをあぶり出した内容が波紋を呼び、第34回柴田錬三郎賞を受賞した。

そんな原作を、ある種のラブストーリーとして映画化するのは、「あゝ、荒野」「前科者」などの岸善幸と、脚本家・港岳彦のタッグ。生きていくための原動力が”当たり前”とは違う形である人たちの人生を、大胆な演出表現で映像として浮かび上がらせる。

稲垣吾郎が演じるのは、横浜検察庁に務める検察官で、マイホームを持ち妻と子を養う一方で、小学校不登校の息子が世間から断絶されてしまう可能性を恐れる寺井啓喜。新垣結衣は、特殊性癖を持つことを隠して生き、自ら世間との断絶を望む、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月を演じる。

稲垣吾郎、新垣結衣らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■稲垣吾郎
脚本を読み終えた時、この作品に関われる事を嬉しく思いました。難しい題材にチャレンジする、監督、スタッフの皆様と共に丁寧に演じていきたいと思います。

■新垣結衣
原作を読んで、何かを問われたような気持ちになりました。それは、「何が正しいか」とかそういう単純なものではないような、でも実はとてもシンプルなことのような気もしました。考え続ける事、想像し続ける事をいつも以上に大切にしながら、制作に臨めたらと思っています。岸監督とは初めてご一緒しますが、初顔合わせから親身に役についての相談などを聞いてくださり、とても心強く、感謝しています。撮影では、自分なりに、夏月達が生きる世界を必死に生きたいと思います。

■監督・岸善幸
原作の衝撃と感動がずっと消えません。朝井さんの“視点”が生み出した登場人物たち、その感情をどう表現するべきか、模索が続いています。稲垣吾郎さん、新垣結衣さんをはじめとするキャストの皆さんとの対話を重ねて、少しずつ輪郭が浮かび上がってきたところです。人と人のつながりを描こうと思います。大切なのに、難しい、つながり。世界から「普通ではない」と片づけられてしまう人たちの、歪みのないつながりを描こうと思います。

■原作・朝井リョウ
言葉にするとは線を引くということです。明確に名付けがたい感情や現象に無理やり輪郭を与えてしまうのが、言葉です。
映画には、表情、声色、沈黙など、言葉以外のものが沢山映ります。それらが、私が書きながら取りこぼしていったものたちを一つでも多く拾い上げてくれることを願っています。
そして、この物語の核が、いい映画を創るという意思以外の部分で歪められることのないよう、緊張感とともに祈っています。

【作品情報】
正欲
2023年、全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド
© 2021 Constantin Television GmbH, ZDF

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