雨漏り、電気が通ってない… 出土品の適切管理へ 長崎県大村市が収蔵庫計画

収蔵品のケースが仮置きされている旧総合福祉センターの一室。建物に電気は通っていない=大村市西三城町、同センター

 長崎県大村市は2023年度、市内の遺跡から出土した土器や石器などの文化財資料を保管する収蔵庫を、同市池田2丁目の市有地に整備する計画を進めている。開会中の定例市議会に、設計委託料や地質調査に関する補正予算案計約1200万円を計上している。
 市文化振興課によると、出土品は現在、旧総合福祉センター(西三城町)と旧中央調理場(松並1丁目)、県施設の文化財資料整理室(鬼橋町)の計3カ所に分散して保管。計約5400ケースに上るが、いずれの施設も雨漏りなど老朽化が進んでおり、適切な保管ができない状態にある。
 このうち旧総合福祉センターには、西九州新幹線の大村車両基地建設に伴う県の竹松遺跡発掘調査で出土した約3千ケースが並ぶ。もともと近くにあった旧高齢者・障がい者センターに保管されていたが、市立三城保育所の移転に伴い解体されたため、今年5月から仮置きしている。現在は使われていない施設のため、建物に電気は通っていないという。
 計画している施設は延べ床面積約800平方メートル。うち倉庫部分が約600平方メートルを占め、出土品の洗浄や修復、図面製作などをする作業室も備える。現在の収蔵品をはじめ、今後10~15年分程度の出土品を収蔵できる能力があるという。
 同課は「1カ所に集約して保管できるため、遺跡から発掘された貴重な資料を適切に管理できるようになる。外部から研究者が来た際もスムーズな対応につながる」としている。


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