軍に招集「行かないで」/朝も夜もサイレン ウクライナ出身のオレナさん、戦地の状況 生々しく

ウクライナで暮らす父と姉家族のことや、現地の状況を訴えるオレナさん=島原市、森岳公民館

 島原市民有志でつくる「しまばら半島国際交流クラブ」(松下英爾代表、38人)は10日、同市城内1丁目の森岳公民館で、国際平和について考える講演会を開いた。10年以上日本在住で、同市に暮らすウクライナ出身のグリニェンコ・オレナさん(38)と、島原国際日本語学校長の小渕見早(こぶちみさき)さん(36)の対談などがあった。
 オレナさんはロシアとの国境に近い北東部の都市スムイ出身。父と姉家族は現在もスムイで暮らす。義理の兄が軍に招集された際、「行かないで」と出兵を引き留める姉に対し「皆がそんな考えでは、ウクライナの未来はない。だから行く」と話したエピソードなどを紹介した。
 「父と姉家族を日本に避難させたい」と話すオレナさんは島原市内に家を購入。だが、総動員令下の同国では、18~60歳の男性は原則出国禁止のため、それもかなわない。警察学校の学生となった18歳の甥を気にかけているとも話した。
 現在も軍用機やミサイルが飛び交う出身地の状況に触れ、「朝も夜も毎日サイレンが鳴り、家族が心配。安全な場所はない」と、爆撃を受けた軍人養成学校の校舎の写真などを紹介しながら訴えた。
 市民ら約40人が参加。長崎で被爆した宮田隆さん(82)=雲仙市=による平和講演もあった。


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