勝田貴元、未経験のアクロポリス・ラリーで6位入賞。トヨタ勢最上位でフィニッシュ/WRC第10戦

 9月8日(木)から11日(日)にかけて、ギリシャで2022年シーズンのWRC世界ラリー選手権第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』が開催された。TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加している勝田貴元は、同ラリーに出走したトヨタGRヤリス・ラリー1最上位となる総合6位でフィニッシュした。

 サファリと同様に“カーブレイクラリー”の異名を持つアクロポリス・ラリーは、WRC有数のラフな路面で知られる伝統のグラベル(未舗装路)イベント。クルマやタイヤに厳しいのはもちろん、開催時の気温が高く、クルーにとっても過酷なラリーだ。実際に今大会では多くの選手がアクシデントやクルマのトラブルに見舞われ、戦列を去ることとなった。トヨタ陣営ではカッレ・ロバンペラがアクシデントで遅れ、エサペッカ・ラッピとエルフィン・エバンスのクルマにトラブルが発生。エバンスは最終日を総合4番手で迎えながら無念のリタイアとなっている。

 そんなアクロポリス・ラリーに初めて参戦した勝田は、前年大会ではレッキ(ステージの事前下見走行)のみの参加となり競技には出場していない。そのため、ライバルたちと比べて知識や経験が少なく、またクルマのセッティングもステージにあまりマッチしていなかったことから、フルデイ初日の金曜日は総合10番手と苦戦を強いられた。

 翌日のデイ2も、出走順が前方だったことも影響し滑りやすい路面で厳しい戦いが続く。しかし、そのなかで大きなミスをすることなく粘り強く走行を続け、1日の最後には総合7番手に順位を上げた。最終日にもポジションアップを果たした勝田は総合6位でフィニッシュ。トヨタ勢最上位でラリーを終えている。

 勝田は前戦ベルギーの終了時点で開幕から全戦でポイント圏内フィニッシュをしている唯一のドライバーだったが、その記録を「10」に伸ばした。同時に第2戦フィンランド以降、9戦連続で総合6位以上のリザルトを記録している。

勝田貴元とコドライバーのアーロン・ジョンストン 2022年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ

 TOYOTA GAZOO Racing WRTのボス、ヤリ-マティ・ラトバラはこの安定感を評価し、勝田の成長に満足していると述べている。

「貴元にとっては難しい週末だったが、今シーズンもっとも安定しているドライバーとしての記録は維持することができた」とラトバラ。。

「ギリシャは初出場で、このようなコンディションは彼にとって初めての経験だったし、今回はチームとしてもパフォーマンスを発揮することが叶わなかった。しかし、今シーズン何度もそうしてきたように、貴元は大きな視野でラリーに臨み、一貫性を保ち、フィーリングが合わない時は限界を超えるようなことはしなかった。その結果、今シーズン多くのことを学ぶことができている」

「私も彼の成長に満足している。次のニュージーランドはまた新たなチャレンジになるが、きっと彼はラリーを楽しむことができるはずだ」

 勝田自身は今戦について、「ラリーの序盤は状況を受け入れながら、このようなステージについて学ぶこと、そして今後に向けて改善すべきことに意識を集中して走りました」と週末を振りかえった。

「本当に大変で、学ぶことが多くあった週末でした。このラリーは初出場でしたし、例えばトルコのようなラフな路面のラリーに出たこともなかったので、これほど路面が荒れているグラベルラリーを戦ったのは初めてでした」

「金曜日の午前中は、とくにペースノートの面で苦労しましたが、一歩一歩改善していき、午後はいくつかのセクションでペースを上げることができました。本当に大変だったのは土曜日で、セッティングをいろいろ試したのですが、なかなか自分が望むものにはなりませんでした。しかし、最終日にさらに変更を加えたところ、フィーリングが良くなってクルマをフィニッシュまで運ぶことができました」

 初参戦となったギリシャのラフグラベルラリーを戦い終えた勝田を待つのは、これまた初めて挑むラリー・ニュージーランドだ。9月29日から10月2日にかけて開催される同大会は10年ぶりにWRCカレンダーに復帰したグラベルラリー。スムーズな路面で流れるような中速コーナーが連続するため、ドライバーからは人気の高いイベントだ。

総合6位でフィニッシュした勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ

© 株式会社三栄