土石流災害に観光経済の活性化…課題山積の熱海市政にどう取り組む 5選の斉藤市長に聞く

9月11日に投開票が行われた静岡県熱海市長選挙は斉藤栄市長(59)が新人候補の挑戦を退け、5期目の当選を果たしました。行政や市長個人の責任を問う民事訴訟まで発展した伊豆山地区の土石流災害など山積する課題にどう立ち向かうのか、斉藤市長に聞きました。

<影島亜美キャスター>

熱海市長選挙の投票率は44.33%、前回8年前の時と比べて、15.08ポイント下回り、過去最低となりました。こうした中、有権者は何を重視して投票したのか、SBSでは電話による調査を実施しました。

最も重視した政策に関しては、

①観光経済の活性化を挙げる人が最も多く、

②土石流災害からの復旧復興、

③医療福祉新型コロナ対策、

④土石流災害の責任追及ーの順となりました。

斉藤市長の土石流災害への対応については評価すると答えた人が大半でしたが、評価しないとする人も一定数いて、その多くが相手候補を支持しました。さらに、土石流災害の責任追及を重視した人の投票先は、斎藤市長と相手候補が二分しました。

<廣田昭由記者>

ここからは斉藤市長に、5期目の課題などを含めて伺っていきます。今回の投票率が過去最低44.33%でしたが、これについてどう受け止めますか。

<斉藤栄熱海市長>

ひと言で言って、もう大変ショッキング。15%下がるというのは、もう私も全く予想しておりませんでした。選挙は市民の民意を表す非常に重要な行為ですから、その行為がこれだけ低くなるというのは非常に政治家にとっても非常に投票率ってのは大事だと思っています。いろいろな理由はあるかと思いますが、私がいま時点でどういう理由か、あまりよくわかりません。

<廣田記者>

市民の皆さんが重視したというのは、観光経済の再生というところが最も多かったようですが、これについてはどう感じますか。

<斉藤市長>

報道などで、熱海のいまの一番の大きな課題が伊豆山土石流災害という形になりがちなんですけれども、私も選挙戦を通して、かなりそれは一つのイシュー(争点)だけではないということを、今回の選挙戦を通じて、改めて実感しました。今回観光経済が一番上に出ておりましたが、それはその自分の感覚とも非常に合う結果となっております。

<廣田記者>

そして、やはり外せないのが土石流災害からの復旧・復興という面ですが、この今までの対応を評価するという声が多かったことについては、今までの取り組みが有権者に認められたとに感じていますか。

<斉藤市長>

棒グラフをみて、正直うれしかったです。この仕事は批判されるのも仕事のようなところもあって、批判数がもしかしたら半分以上なのかもしれないと。今回投票行動で、投票の数でわかりますけれども、先ほどのこのグラフでは、土石流への対応ということで聞いていただいてますので、過半数、評価するという調査結果を非常にありがたく思います。うれしく思います。

<廣田記者>

今度は具体的にこれが具現化していかなければいけないということになりますが、その中で復興計画というのを取りまとめました。取り入れた、取りまとめただけで終わりではなくて、実際にこれどう進めるか。被災者の中には「今後も私達の声を届ける聞き入れてくれるようなそんな仕組みが欲しい」という声も上がってます。これについてどう思いますか。

<斉藤市長>

まさにいま言われた通り、計画は作って終わりでなく、これをどう今後フォローしていくかであります。先般、検討委員会の最後の委員会の中で、この計画を今後きちんとその定期的に見直す時、あるいは進捗状況を把握するための懇談会を作っていこうと、そこの中に地域の方も入れて行いますので、しっかりと皆さんの声を反映した形で、行政が一方的に作って一方的に管理するんじゃなく、住民の皆さんと一緒になって、この計画の進捗管理、また途中で変更になった場合には、住民の皆さんと相談しながら変更していくと、そういう仕組みを必ず作ってまいります。

<廣田記者>

必ずという言葉がありまして、市民も聞いていると思いますので、その点はお約束したということで、受け止めてもよろしいですか。

<斉藤市長>

はい

<廣田記者>

現在、民事訴訟が行われております。その中で、熱海市、それから、斉藤市長個人も訴えられているという状況になりました。責任論というのが言われますけれども、これについて、市長個人どのようにお考えですか。

<斉藤市長>

今回の土石流災害の原因、また、どこに、あるいは誰にその責任があるかということについては、今後、司法の場を通して明らかになっていくんだと考えています。市長としての責任でありますが、これはとりもなおさず、私は今回の選挙戦でも訴えさせていただいたこの被災したエリアを復興させるということだと思います。

特に、住民の皆さんが帰りたいと伊豆山に帰りたいという皆さんに対して、来年の夏の終わりまでに警戒区域を解除して、そこから帰りたい方は帰られる。そこからスタートさせると、そういったことを一つ一つ実現させることが、自分の市長としての責任だというふうに考えております。

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