TGR WRCチャレンジプログラム2期生がイタリアのターマックラリーに参戦。3台揃って完走果たす

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀の3名が9月9~10日、イタリア北部で開催された『ラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ』に参戦し、全員がラリーを完走した。

 3選手が出場したラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァは、イタリア・ターマックラリー選手権の一戦。イタリア北部に位置するトレンティーノの山岳部を舞台に、9日(金)と10日(土)の2日間に計5本SSで争われた。SSの合計距離は92.29kmだ。

 大竹、小暮、山本は、それぞれ日本国内でのターマックラリーの経験はあったもののヨーロッパでの経験はなく、今回が欧州で挑む最初のターマックイベントとなった。そんな今大会ではラリーウイーク中に天気が大きく変わり、完全なドライコンディションからフルウエット、ときにミックスという状況の変化を経験することにもなった。

 19台が参戦したラリー4クラスにエントリーした3選手は、地元のドライバーたちに対して競争力を発揮。山本/ミイカ・テイスコネン組は、ウエットコンディションとなった金曜夜のSS1でクラス2番手タイムを記録すると、翌日もSS4とSS7でステージ3番手タイムを刻みクラス5位でフィニッシュした。

 また小暮/トピ・ルフティネン組は、ウエットとドライの入り混じった路面状況で行われた最終SS7でクラス2番手の好タイムを記録。これによりクラス9番手につけていた大竹/マルコ・サルミネン組を逆転しクラス9位でラリー終えている。大竹組は同10位となった。

 山本と小暮、そして大竹にとって欧州初ターマックラリーを見守ったチーフインストラクターのミッコ・ヒルボネンは、事前のテストではウエットコンディションで走っていなかったにもかかわらず、3人が落ち着いて本番に挑めていたことを評価した。中でもSS1での山本の走りが印象的だったと語った。

「初めてのターマックラリーに対する3選手のアプローチには、とても満足している」とヒルボネン。「彼らにとって新しいことばかりだった今回のラリーで、もっとも大切だったのは完走してマイレージを稼ぐことだった。だが、彼らはそれだけにとどまらず、全員が地元ドライバーに対して競争力のある走りを見せてくれた」

「事前テストはかなりタフな内容だったが、3人とも落ち着いて本番に挑むことができていた。金曜日の夜、SS1の直前に激しい雨になったが、山本がとても良い走りをしたのは印象的だった」

「土曜日の朝もまだ湿気が多かったが、大竹と、サーキットレースのバックグラウンドを見せてくれた小暮も、トリッキーなコンディションのなかで良いタイムを出してくれた」

「3選手ともターマックでのペースノートについてはまだまだ学ぶべきことはある。しかし全員が終始安定しており、今回の経験によって次のターマックラリーはかなり楽になると思う」

 ヨーロッパでの最初のターマックラリーを完走したTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生たちのコメントは以下のとおりだ。

山本雄紀/ミイカ・テイスコネン組(ルノー・クリオ・ラリー4) 2022ラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ

■ドライバーコメント

●山本雄紀(ルノー・クリオ・ラリー4/クラス5位)

「今回の目標はできるだけ多くのマイレージを稼ぐことだったので、しっかりと完走ができてとてもうれしく思っています」

「路面が刻々と変化し、とくにドライとウエットが混在するステージでは、道の状況を読み、グリップの効きを見極めることがとても難しかったです。今回のラリーで学んだ一番のことは、自分の目で見える状況に応じてブレーキやアクセルの正しいポイントを適応させていく必要があるということです」

●小暮ひかる(ルノー・クリオ・ラリー4/クラス9位)

「今回のラリーはとても楽しいイベントでしたが、タフでチャレンジングでもありました。天候がつねに変化し、いくつかのステージではドライとウエットが混在する状況でとても難しかったです」

「事前テストではウエットコンディションは経験していなかったので、そこもチャレンジになりました。今回一番重要なのはマイレージを稼ぐことだと思っていたので、マージンを残して走ったことで少しスローになってしまうことがありましたが、最終ステージでは少しプッシュし良いタイムを出すことができました」

●大竹直生(ルノー・クリオ・ラリー4/クラス10位)

「欧州での初のターマックラリーとしては良かったと思います。変り続ける天候の下での運転は簡単ではありませんでしたが、これまでと全く異なる経験ができたことは素晴らしかったですし、楽しむことができました」

「日本でターマックラリーの経験はありましたが、道もクルマも違い、今回は前輪駆動でのターマックという新しい経験でした。少し慎重に行き過ぎるところがあるので、自分の最大の改善点は、正しいブレーキングポイントを見つけることだと思いました」

小暮ひかる/トピ・ルフティネン組(ルノー・クリオ・ラリー4) 2022ラリー・サンマルティーノ・ディ・カストロッツァ
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生。(左から)大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の小暮ひかる

© 株式会社三栄