市町別感染者数の公表終了へ 栃木県、26日から全数把握簡略化

定例記者会見に臨む福田知事=12日午後、県庁

 栃木県は12日、新型コロナウイルス対策本部会議を開き、感染者の発生届の対象を高齢者などに限定する「全数把握」の簡略化を、国の方針に合わせて26日から導入することを決めた。感染者の総数の把握を継続する一方、発生届は65歳以上や妊婦など重症化リスクの高い人に限定し、市町別の感染者数公表は取りやめる。オミクロン株「BA・1」に対応した新ワクチンの接種を、県営会場で30日から順次始めることも決めた。

 県は発生届の対象を(1)65歳以上(2)入院が必要(3)重症化リスクがあり新型コロナ治療薬か酸素投与が必要(4)妊婦-に絞る。対象外の感染者も総数と年代別内訳は毎日公表するが、居住地を把握できなくなるため市町別の公表はなくなる。

 発生届の対象ではない人が体調悪化するケースなどに備え、自宅療養者の健康観察を行っている県の「フォローセンター」に12日から医師を配置した。医療機関で診察を受けるのが困難な場合に、オンラインで診療する。

 新ワクチンの接種券発送は、市町が10月半ばをめどに、1~2回目接種を終えた12歳以上の全住民に発送する。4カ所の県営接種会場では60歳以上や医療従事者など4回目接種対象者を優先して接種し、10月7日以降は保健福祉施設や教育機関で働く人、同21日以降はそれ以外の一般の予約を受け付ける。

 病床使用率が4割前後に高止まりしているため、第7波以降で県内4カ所目となる臨時医療施設(19床)を13日に安足地区に開設する。即応病床も12床増え、病床数は計680床となった。

 福田富一(ふくだとみかず)知事は記者会見で「第7波も峠を越えたが、医療提供体制への負荷が継続している。発生届を限定するなど対策は新たな段階に移行するが、医療機関と連携し万全を期す」と述べた。

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