ウミガメ産卵地で実習 岡山理科大の学生29人

前田一樹副課長(左奥)からウミガメ保護活動の歴史についての話を聞く学生=12日、和歌山県みなべ町山内で

 本州有数のアカウミガメの産卵地で知られる、和歌山県みなべ町山内の千里の浜で12、13の両日、岡山理科大学生物地球学部(岡山市)の学生が、浜の状況などを調査をしたり、同町での保護活動について説明を聞いたりした。

 7年前から毎年、同学部の学生が訪れて実習している。今年は動物昆虫コースを専攻する3回生のうち希望する29人が参加した。

 12日には千里ウミガメ館で、みなべ町教委教育学習課の前田一樹副課長から話を聞いた。テーマは、みなべ町でのウミガメ保護活動の歴史。全国的にウミガメの卵が盗まれ始めたのをきっかけに、みなべ町では1980年に地元の教師が保護活動を始め、ウミガメ研究班がつくられ、青年クラブも活動に加わったことを紹介。京都大学の研究者がウミガメに発信機を付けて行動調査をしたり、NPO日本ウミガメ協議会が引き継いで保護調査をしたりしているほか、企業も活動に加わったことも説明した。千里の浜での産卵数についても触れ「2010年代初めに200回を超えるまで回復したが、今は寂しい状況。町だけでは何もできない。いろいろな人たちが協力し合って続けていかなければと思う」と語った。

 続いて同学部動物自然史研究室の亀崎直樹教授がウミガメの種類や分布域、生態などについて説明した。日本でアカウミガメの産卵数が減っていることについては「定かではないが、中国漁船の増加や産卵の周期、海水温が高くなったことなどの影響が考えられている」と話した。

 この後、学生らは砂浜の状況を調べた。ハマゴウやハマヒルガオなど植物の種類のほか、それが浜のどの辺りに生えているかを確認。波打ち際から植物が生えている地点までの距離を測るなどして、産卵地として良好な状態であるかどうかも確認した。

 13日はふ化しなかった卵を割って中の状態を確認するなどして、死んだ時期などを調べた。

 濱田陸太郎さん(24)は「実家のある大阪でウミガメに触れることはなく、興味を持ち参加した。減っているという話を聞き、深刻だと感じた。原因が分かるよう私たちも少しでも協力できればと思う」と話していた。

千里の浜で植物の種類や生え方などを調べる学生(12日、和歌山県みなべ町山内で)

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