“返礼品” に採用 高校生が作ったブドウ… 全国へ!

広島・安芸高田市役所のふるさと納税の係です。農業が盛んな土地柄だけに主な返礼品はコメや鶏肉などの農畜産物。

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そんな中、注目のニューフェースが現れました。地元・県立吉田高校の生徒が栽培したブドウです。

きっかけは、地元の「道の駅」での評判でした。

安芸高田市 地方創生推進係 戸田 邦昭 係長
「出荷されたら本当に行列ができる人気の商品であるっていうのをすごく聞いていまして、本当にうちの街としても大きな魅力だなあと」

きょうのテーマは、『“返礼品” に採用 高校生が作ったブドウ… 全国へ!』

県立吉田高校(広島・安芸高田市)では60年前、ブドウの品種「デラウェア」の栽培から始め、現在はアグリビジネス科で実習として8品種を栽培しています。「吉高(よしこう)のブドウ」として地元・道の駅の人気商品になっています。

そして、農業科のある高校で作ったものが、「ふるさと納税」の返礼品に選ばれたのは、広島県内では初めてです。安芸高田市に1万3000円以上の寄付をした場合、ブドウ2房のセットが返礼品となります。人気の秘密は何なのか、ブドウ畑を訪ねました。

安芸高田市 吉田町にある県立吉田高校です。こちらが、アグリビジネス科の生徒が実習で使っているブドウ畑です。

先週木曜日、3年生たちがブドウを収穫していました。

県立吉田高校 3年 井野 佑優 さん
「全国の人に自分たちのブドウを食べてもらえるので、それはうれしいです」

返礼品の1つ、「クイーンニーナ」です。味はいいものの、栽培が難しいため、あまり作られていません。

取材した記者もいただきました。

柴田 和広 記者
「甘い。すごく甘い。おいしいです」

一般に糖度18度以上で十分に甘いとされる中、このブドウの糖度は22.2度あります。うまさの秘密をたずねると…。

県立吉田高校 3年 井野 佑優 さん
「管理をけっこう、ていねいにやっているので、愛がこもっているからブドウに」

実ったときの房の形を考えながら生育中の粒を間引いたり、葉っぱの数を調整したりしているということです。

隣りの棚では、シャインマスカットの収穫が行われていました。

こちらも糖度20度を超える甘いブドウに仕上がっていました。

県立吉田高校 3年 坂口 侑大 さん
「やっぱりうれしいです。家族や友だちにあげるときも『おいしい』って言われたら、こっちまでうれしい気持ちになって、次もがんばろうっていう」

しかし、すべての房が返礼品に使えるわけではありません。

県立吉田高校 3年 松川 詩音 さん
「かすり症やちょっとしたへこみがない、きれいなブドウを探さないといけないのでたいへんです」

実は、糖度が高くなると「かすり症」という茶色いシミが出やすくなります。万一、かすり症が見つかった場合は返礼品からはずします。

県立吉田高校 アグリビジネス科実験場 前田 奈緒里 農場長
「これは、ダメ。やっぱり、それなりの金額のものですし、どんな方でも『ああ、いいブドウだな』って言っていただけるものをと思うと、ちょっと厳しくなる」

県立吉田高校 3年 辛島 優一朗 さん
「きれいに見えるじゃないですか。それを意識して、ちょっと上に上げる」

箱詰めも生徒がします。フルーツキャップをかぶせ、ブドウが大きく見えるように緩衝材を敷き詰めます。

返礼品は、ピオーネを含めた3種類のブドウの中から収穫の都合に合わせて2種類を選び、箱詰めします。

この日は、クイーンニーナとシャインマスカットを詰めた8セットを作りました。

県立吉田高校 3年 片淵 歩夢 さん
「吉田高校のブドウを頼んででも食べてくれる人がいるんだなって。ムッチャ、うれしかったです」

指導する先生は、教育効果を感じていました。

県立吉田高校 アグリビジネス科実験場 前田 奈緒里 農場長
「自分の知らない人たちに届けるっていう意味では緊張感を持って、ていねいに作業をするようになって来たかな。来年以降もお声がかかれば、ぜひやらせていただきたい」

― 安芸高田市によりますと、注文した人の多くは広島市。中には東京や千葉、愛知県からの注文もあるそうです。一部、お客さんからの感想も返ってきていて、「梱包がていねい」「ブドウの実がきれいでおいしかった」などの声が寄せられています。

― 申し込みの期限は今月20日。30セットの枠に対して、12日までに26セットの申し込みがあったそうです。安芸高田市は、来年も返礼品として扱いたいと考えていますが、あくまで学校の授業でやっていることなので、量を増やすのは難しいそうです。それだけ貴重な返礼品になっています。

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