小田原城隣接の旧商工会館 市に寄贈の意向 会頭「有効活用してほしい」

小田原箱根商工会議所が小田原市への寄贈の意向を示した旧商工会館=同市城内

 小田原箱根商工会議所が昨年まで事務所として使用していた旧商工会館(神奈川県小田原市城内)を同市に寄贈する意向を市側に伝えていたことが13日までに分かった。築50年が経過していることから、市は本年度中に活用方法などを検討した上で受領の可否を判断する。

 旧会館は小田原城址公園に隣接する市有地を借りて立地。国の史跡指定の範囲内にあり、1971年に文化庁から許可を受けて地下1階、地上5階建て(延べ床面積2800平方メートル)が建設された。

 周辺には小田原城の要衝だった弁財天曲輪(くるわ)や天然の堀だった蓮池があり、戦国時代には上杉謙信の軍勢を北条家が迎え撃つ激戦の舞台となった。堀は関東大震災後に埋め立てられ、宅地化が進んだ。市は将来的に曲輪や堀などの史跡を整備する方針だ。

 そうした状況で商議所は旧会館の建て替えが難しいことから、昨年2月に同市本町の新事務所に移転。旧会館は1998年に耐震補強工事を終えており、鈴木悌介会頭が今年8月に「まだ稼働できる状態にあり、市に有効活用してほしい」と寄贈の意向を申し出た。

© 株式会社神奈川新聞社