越前市長選挙で公選法違反…罰金40万円を求刑 弁護側は無罪主張も検察側「供述は信用できない」

福井県の福井地方裁判所

 2021年10月の福井県越前市長選挙で当選した山田賢一市長の車上運動員に規定を上回る報酬を支払う約束をしたとして、公選法違反(買収約束)の罪に問われた同市、無職の被告(72)の論告求刑公判が9月13日、福井地裁(河村宜信裁判長)であった。検察側は「選挙の公正を害する犯行。(事件の)中心的役割を果たしており、刑事責任は軽視できない」として罰金40万円を求刑。弁護側は無罪を主張し結審した。判決は10月4日。

 検察側は論告で「被告人の供述は信用できない」と指摘。5月の公判に出廷した女性車上運動員が「報酬は(規定額を上回る)3万円で受けている」と証言したことについて、被告はその額を認識した上で「当選したら、いいことあるかも」と伝えたと指摘。規定額を上回る追加報酬の約束はしていないという主張は「極めて不自然で合理性もない」と述べた。また、公判中に被告の供述が二転三転したことなども信用できない要因とした。

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 弁護側は、女性運動員の証言は、捜査段階の取り調べと公判では変遷しているなどとして「事実認定の基礎とすべきでない」と主張。「当選したら、いいことあるかも」との発言は「追加報酬の約束としては不明確」と述べた。

 起訴状によると、越前市長選告示前の昨年9月25日、同市の山田氏後援会事務所で、車上運動員の50代女性に対し、市選管が日当として規定する上限の1日1万5千円を上回る3万円を支払うと約束したとされる。また、この50代女性と共謀し昨年10月8、9日、車上運動員の女性4人に対し、直接または電話などで少なくとも1日2万円を支払う約束をしたとされる。

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