山形大重粒子センターの照射治療、全臓器対象に 眼球がん以外、胸腹部へ治療拡大

 山形大医学部の東日本重粒子センター(山形市)で、胸腹部の臓器を対象にした照射治療が近く行われる見通しとなった。初のケースとなる患者への照射が順調に経過すれば、来月以降、対象臓器を拡大しながら院外患者も含めた受け入れを本格化させる考え。同センターでは眼球がんを除く、ほぼ全ての対象臓器に照射が可能となる見込みで、幅広い医療ニーズに応えていく。

 同センターによると、胸腹部の臓器は、呼吸に伴って動くため、エックス線の透視画像などを駆使しながら対象臓器の動きを正確に捉え、重粒子をピンポイントで腫瘍に照射する技術が求められる。先月下旬に重粒子のビームの調整が完了したという。これにより、あらゆる角度から照射できる「回転ガントリー照射室」が本格的に稼働する。

 今回拡大される臓器は肝臓や肺、膵(すい)臓、腎臓、食道。順次、治療が進むとみられる。このほか骨盤部領域の子宮頸(けい)がんの照射治療も始まるという。

 同センターは「(山形大医学部付属病院内の)各診療科によると、治療開始を待ち望んでいた患者は多い。公的保険の適用範囲の拡大を期待しつつ、一人でも多くの患者に新たな治療の選択肢として選んでもらいたい」としている。

 同センターでは昨年2月、「固定照射室」で前立腺がんへの照射治療がスタート。今年3月には「回転ガントリー照射室」の運用が始まり、5月には頭頸(とうけい)部(耳鼻科系)腫瘍、7月には手術後に局所再発した大腸がん、骨盤部の骨軟部腫瘍が新たな対象に加わった。

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