長崎IR巡る初の訴訟か 市民団体有志、公金支出の中止求め提訴

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致に向けたコンサルタント業務委託費を巡り、市民団体の有志が大石賢吾知事に公金の支出を差し止めるよう求め、長崎地裁に提訴したことが13日、関係者への取材で分かった。原告側によると、長崎IRを巡る訴訟は初めてとみられる。
 原告は市民団体「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」の有志8人。訴状などによると、IRをハウステンボス(佐世保市)へ誘致する区域整備計画の認定審査に対応するため、県は計約1億1千万円の業務委託契約を法律事務所などと結んだという。
 原告側は資金調達を問題視。県が計画に添付したコミットメントレター(出資・融資の意思表明書)は一切公表されず、客観的な確認や審査がなされていないとして、レターが「資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料」に当たらない可能性があると指摘する。その場合、国の基準を満たさないため計画は認定されないと主張。認定の余地がない計画のために委託費を支出する必要性は認められないとしている。
 原告側は6月、委託費の支出中止を求め住民監査請求を実施したが、棄却。監査結果を不服として提訴した。県IR推進課は「訴状の内容を精査中であり、コメントは差し控えたい」としている。


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