中国、自爆ドローン「FH901」動画公開 中国メディア「米国製スイッチブレードに匹敵」

By Kosuke Takahashi

戦車上部に命中する中国の自爆ドローン「FH901」(中国航天科技集団の動画より)

ミサイルや宇宙船の開発を担う中国国有企業の中国航天科技集団(CASC)は、自爆型無人機(ドローン)の「飛鴻(FH)901」の動画を公開した。中国共産党系新聞「環球時報」英語版の「グローバルタイムズ」は、FH901がアメリカ製自爆ドローン「スイッチブレード」に匹敵すると評価している。

グローバルタイムズによると、この動画は9月8日、北京で行われたCASC開発の無人機器についてのフォーラムの中で紹介された。動画では、地上のランチャーから発射された小型無人航空機(UAV)のFH901が、戦車の弱点とされる装甲が薄い上部を狙う「トップアタック」を敢行している。グローバルタイムズは「戦車を完全に破壊」と伝えている。

また、親中派の台湾メディアである中天電視のYouTube動画は「FH901が15キロ離れた地上戦車の標的車両に正確に命中」と報じている。

グローバルタイムズはFH901が地上発射だけでなく、大型のステルス無人機FH97を含む軍用機に搭載され、そこからも空中発射できると伝えている。

アメリカ製の自爆型無人攻撃機「スイッチブレード」は徘徊型兵器として知られ、バージニア州に本社がある「エアロバイロンメント」が開発してきた。ロシアのウクライナ侵略ではアメリカは多数の「スイッチブレード300」をウクライナに提供。戦争の序盤では、ウクライナ軍のドローンがロシア戦車を破壊する動画がSNS上でも頻繁に投稿された。

CASCの動画では、FH901のほか、垂直離着陸(VTOL)能力を持つティルトローター無人機「彩虹(CH)10」も紹介されている。

中国航天科技集団(CASC)が開発したティルトローター無人機「彩虹(CH)10」(グローバルタイムズより)

イギリスの軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」によると、CH10は全長4.6メートルで高さは2.1メートル。 最大離陸重量(MTOW)は350キロで、ペイロード(可搬重量)は80キロ。最大速度は毎時320キロで、高度は7000メートルまで航行できるとされる。

FH901とCH10の配備は単に中国軍の戦術能力を高めるだけでなく、中国にとってはUAVの輸出強化が図れることになる。CASCが開発してきたUAVは、既にインド太平洋や中東、中央アジア、アフリカの国々で使われている。具体的にはイラクやミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、サウジアラビア、トルクメニスタンといった国々で使用されている。

軍用ドローンの世界3大輸出国はアメリカ、中国、イスラエルだが、アメリカ国防総省(ペンタゴン)の2021年の報告書によると、中国はアメリカに次ぎ、世界第2位のUAVの輸出国となっている。

(関連記事)

ミャンマー国軍、中国製ドローンでデモ監視――ジェーンズ・ディフェンスが確認

イギリス国防省、自律型戦闘用UAV「ロイヤル・ウイングマン」の技術実証機「モスキート」計画中止を発表

© 高橋浩祐