「8月9日午前11時2分」を忘れない 長崎で写真展 被爆者の小川さん呼びかけ

篠﨑館長から認定証を受け取った小川さん=長崎市松が枝町、ナガサキピースミュージアム

 長崎原爆がさく裂した8月9日午前11時2分に合わせて撮影された写真を募る「忘れないプロジェクト」の写真展が13日、長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで始まった。プロジェクトはスポーツや芸術などを通じて平和を発信する同市の「平和の文化」事業に認定された。写真展は10月2日まで。
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 被爆者でアマチュア写真家の小川忠義さん(78)=同市江平1丁目=が2009年から毎年実施。長崎原爆の日の風化を防ごうと交流サイト(SNS)を通じて写真の撮影を呼びかけ、今年は海外9カ国を含む国内外から計218枚が寄せられた。
 抜けるような青空、シャボン玉を飛ばす子ども、勉強に打ち込む学生などの日常風景を切り取った写真や、各地から祈りをささげる人を写したものが多く並んだ。新型コロナウイルス患者に対応するため業務に追われる薬局を撮影したものもあった。

8月9日午前11時2分に撮影されたさまざまな写真

 メッセージ付きの投稿も多かった。「平和な青空と、この子どもたちの笑顔がずーっと続きますように」「それぞれの夢に向かって勉強できる幸せ」など平和な生活に感謝する言葉や「ウクライナ危機を見て、改めて戦争の悲劇を痛感し、平和な世界を祈る」などロシアのウクライナ侵攻を踏まえた言葉が並んだ。
 小川さんは11年から毎年同市中心部の浜町アーケードで撮影を続ける。今年は立ち止まり黙とうする人が多かったとして「ウクライナ侵攻で戦争を身近に感じたのでは」と話した。
 「平和の文化」事業認定は7例目。同日、長崎原爆資料館の篠﨑桂子館長から認定証を受け取った小川さんは「平和だからこのような写真を撮ることができる。戦争になれば一瞬でがれきになることに思いをはせてほしい」と語った。


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