虐待やネグレクト…家庭で暮らせない女の子のための「ホーム」福井県内に初開設、一時的な避難所にも

虐待などを受けた子どもたちを受け入れる自立援助ホーム。机やベッドなどを備えた個室を用意している

 福井県内の弁護士や社会福祉士らでつくる一般社団法人ラシーヌ(福井市)はこのほど、身体的虐待やネグレクト(育児放棄)などで家庭で暮らせない子どもたちを受け入れ、社会的自立を促す県内初の「自立援助ホーム」を開設した。15~19歳の女子を対象に、常駐のスタッフと一緒に暮らし、社会に出るまで、安心して生活できる場所を提供する。

 県内児童相談所(児相)の2020年度の虐待対応件数は1113件で、10年間で約6倍に増えた。弁護士の端将一郎代表理事(43)らが19年、有志団体「福井に子どもシェルターをつくる会」を立ち上げ、今年1月に法人を設立し、8月1日にホームを開設した。一時的な避難所の「子どもシェルター」の役割も担うため、住所は非公表。

⇒入所の7割は虐待…児童養護施設の今

 ホームやシェルターは、児相に決定権がある一時保護と異なり、子ども自身の意思で入ることができる。入居時に子どもと法人が契約を交わし、児童養護施設の退所者の受け皿にもなる。

 端代表理事は「子どもを一時保護しても、その後家庭に戻れないケースがある。本人が希望すれば、一時保護の後も暮らせる施設にしたい」。当面は6人まで受け入れる予定で、ベッドやドレッサー、机を備えた個室6部屋を用意した。リビングや台所などの共有スペースもあり、食と住を提供し、安心安全な生活環境を保障する。

⇒きっかけは自閉症の息子、医療ケア児の放課後デイ開始

 端代表理事は「まずは女子のホームを開設したが、将来的には男子向けもつくりたい。困っている子どもたちがいたら、連絡してほしい」と話す。

 ボランティアの希望などを含め、問い合わせはラシーヌ=電話080(2727)1218。

© 株式会社福井新聞社