90歳、実力でつかんだ国体 グラウンドゴルフの市村さん(那須塩原)

90歳で国体のグラウンド・ゴルフに出場する市村さん=9日午前、那須塩原市黒磯

 17、18の両日、高根沢町で行われる「いちご一会とちぎ国体」公開競技のグラウンド・ゴルフに、栃木県代表の一人として那須塩原市、市村市造(いちむらいちぞう)さん(90)が出場する。5月の知事杯大会で堂々の3位となり、切符を勝ち取った。「若い選手にどれだけついていけるか、少しでも上を狙いたい」。19日の敬老の日を前に、卒寿の老練のテクニックで地元開催のひのき舞台に挑む。

 タカのように鋭い目でひょいと打つと、芝生を転がるボールはするすると目標であるかご状の「ホールポスト」に寄っていく。「本番は緊張しちゃうだろうな」と笑顔に変わった。

 グラウンド・ゴルフとの出合いは76歳の時。地域の仲間に誘われ、始めてみたら「みんなと競うのが楽しくて」魅了された。それまでスポーツの経験は「ない」と断言する。「子どものころは市内の飛行場への空襲とかがあってスポーツどころじゃなかったよ」。

 15〜50メートル先のホールポストを狙い、ボールを転がすグラウンド・ゴルフでは、ホールインワンが珍しくない。3年前には8ホールの間に3度達成する「ダイヤモンド賞」にも輝いた。

 地域のクラブに所属し、市内の那珂川河畔公園などで週4、5回の練習を欠かさない。「病気になる暇がない」と体調は万全だ。男女800人以上が出場した知事杯では男子の部で2位と1打差だった。

 同市協会会長の寺町三郎(てらまちさぶろう)さん(79)は、正確に狙い、まっすぐ打てる技術をたたえる。「われわれ『若造』と違いプレーの奥行きが深い。地域の仲間作り、生涯スポーツ、高齢者スポーツとしての競技の見本となる素晴らしい方」と推す。

 高根沢町町民広場で開かれる国体には栃木県の男女24人を含む、全国から選手540人が集い、団体、個人で競う。土と芝生のコースで、転がりの違いをいかにつかめるかが鍵を握る。

 市村さんは「恥をかかないようにしなきゃ」と謙遜しつつ「みんなが応援してくれるのはやっぱりうれしい」と全力プレーを誓う。

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