“駐車場屋上から約24m飛び降り” 15~18歳9人逮捕 事件をたどると浮かぶ若者たちの奇妙な関係 

男性が暴行され、高さ24メートルの駐車場の屋上から飛び降りることを余儀なくさせられたという事件…。事件に関わったとして、これまで10代の9人が逮捕されています。現場をたどると、若者たちの奇妙な関係が見えてきます。

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事件があったのは、広島県府中町にある商業施設の立体駐車場…。

6月、19歳の男性会社員が車に監禁され、さらに暴行され、その暴行から逃れるために立体駐車場の屋上から飛び降りることを余儀なくされたとされる事件では、これまでに関わったとされる15歳から18歳の9人が逮捕されています。男性は一時、意識不明の重体に陥ったということです。

家森 亮 記者
「警察は、18歳の足場作業員の男を事件の主犯格とみています。事件の発端は、その2週間前に起きた別の事件でした」

□ 6月18日(土)午後9時半ごろ 広島市 南区の公園

家森 亮 記者
「男は、この日、男性と知人らをこの公園に呼び出しました。現場には車数台が集まり、未成年の男女10数人がいたといいます」

公園で男から言いがかりをつけられたという男性…。打ち上げ花火を打ち込まれ、男性の顔にあたったといいます。

家森 亮 記者
「公園から走って逃げた男性は、その日の未明、警察に被害を届け出しました」

この一件で、男は、のちに暴行と男性の原付バイクも盗んだ疑いでも逮捕されています。

□ 6月30日(木)午後7時半ごろ 商業施設ロータリー

2週間後、“飛び降り事件” は起きました。主犯格の男は、知人を使って自らの名前を伏せたうえで、府中町の商業施設に男性を呼び出したとみられます。

警察は、男性が乗った車が商業施設に到着すると、主犯格の男らが無理やり乗り込んできたとみています。

□ 6月30日(木)午後7時半すぎ 立体駐車場4階

「殴りたいやつおる?」(警察への取材によると)

主犯格の男が、車内で周囲をあおり、男性は複数人から殴られたうえ、財布を奪われたとみられます。

男らの逮捕容疑では、さらに男性はスマートフォンを壊され、買い物カートに乗せられたうえ、スロープで何度も転倒させられたとされています。

□ 6月30日(木)午後8時すぎ 立体駐車場屋上

__「スパーリングだ」
「1人でも勝てたら許してやる」__(警察への取材によると)

屋上に移動すると、暴力はさらにエスカレート…。男性は、7人からかわるがわる殴られたり、けられたりしたとみられます。

家森 亮 記者
「(警察への取材によりますと)男性は、殴られ、顔などをはらし、涙を流しながら、『勘弁してくれ』『すみません』と繰り返し、一切、抵抗はしなかったということです」

そして、男性は屋上から飛び降りたとみられます。

警察は、男らが男性を助けることもなく、その場から立ち去ったとみています。

警察の見立てでは、男性が飛び降りたとき、現場にいたのは主犯格の男を含め7人。そのうち4人は被害男性と面識はなく、さらに主犯格の男とすら面識のない少年もいたといいます。

互いの位置情報を共有するアプリを使って集まっていて、主犯格の男からは襲撃の相手も目的も知らされていなかったとみられます。

一方、関係者によりますと、一部は暴力団との関連が疑われるグループに所属しているということです。

浮かんでくるのは、事件に関わった若者の奇妙な人間関係です。

“飛び降り事件” の翌週、主犯格の男は逮捕されます。ことし3月、ほか19歳の男と共謀し、18歳の高校生を殴った疑いです。高校生は、川に突き落とされたとみられます。

この事件で、被害者であるはずの高校生…。実は、「飛び降り事件」では、監禁に関わった容疑者の1人として逮捕されたのです。主犯格の男の指示で被害男性を誘い出した役割だったというのです。

家森 亮 記者
「逮捕された若者の多くが、『逆らえば自分が攻撃される。従わざるを得なかった』といった趣旨の話をしているということです。

“飛び降り事件” でほとんどは容疑を認めているということですが、主犯格の男は、男性が「気に食わなかった」などと話している一方で、事件については「わたしは関係ない」と供述しているということです。

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