「水量が昔と比べ減っている」絶滅危惧種“幻の海苔”芝川ノリを守れ!かつて幕府や朝廷に献上

静岡県富士宮市を流れる芝川には絶滅危惧種に指定されている貴重なノリが自生しています。かつては、江戸幕府にも献上していたという幻のノリ、その生育状況の調査が行われました。

<日本大学短期大学部 食物栄養学科 石川元康准教授>

「このゆらゆらしているのが芝川ノリ、流れが速いところに生育するので見つけるのがとても大変」

9月9日、富士川支流の芝川流域などで行われたのは、環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているカワノリの調査です。

豊富な湧水に恵まれた富士山西麓の清流に自生するカワノリは「芝川ノリ」と呼ばれ、全国的にも貴重な生息地の1つです。

富士宮市の調査では2022年は、16地点のうち、8地点で生育が確認されました。ここ数年は横ばいですが、長期的にみると減少しています。

<日本大学短期大学部 石川元康准教授>

「どうして芝川ノリが減ってきたかというと、水質・水量・日照条件というのが大きく影響があると思うが、そのうち、水量が昔と比べると減っている」

水温が年間を通して低く、水量が豊富で流れが速い日当たりが良いなど条件が揃わなければ育たない「芝川ノリ」。かつては地域の特産品でした。

<増田屋本店 増田恭子専務>

「こういう感じで、中に入れて、湿気らないように処置してそれで販売していた」

富士宮駅前で漬物や地域の特産品を扱う店では、1980年ごろまで「芝川ノリ」を扱っていたといいます。かつては、朝廷や幕府にも献上され、昭和初期には、年間5000枚ほどが生産されていたとされますが、現在、店頭や食卓で見ることはほとんどありません。

<増田屋本店 増田恭子専務>

「さみしいですよね。そんなに数はなくても、こういうものが採れる川だったり、水だってことが、証明されるようにはなりたい」

歴史的な価値のある特産品「芝川ノリ」を後世に伝えていくため、富士宮市は調査や養殖などを続けていく方針です。

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