国葬の案内状届いた首長と届かなかった首長は? 安倍氏お膝元の山口県

 27日に東京である安倍晋三元首相の国葬に山口県内の10市町の首長が出席を予定している。政府は参列者を最大6千人程度と見込み、案内状を送付。県内の全19市町長が自民党員という安倍氏のお膝元だが、届いたのは11人だった。線引きの要因の一つに、衆院の選挙区があるようにも見える。

 案内状は岩国、柳井、光、下松、長門、下関の6市と和木、周防大島、上関、田布施、平生の5町に届いた。投函(とうかん)の締め切り日の13日までに、病気のため26日付で退職する上関町の柏原重海町長を除き、10市町の首長が出席すると返信した。田布施町の東浩二町長と平生町の浅本邦裕町長は私費で参列する。

 内閣府にある国葬の事務局によると、参列者は現・元三権の長、現・元国会議員、海外の要人、立法・行政・司法関係者、地方公共団体代表、各界代表など。市町の首長で対象となるのは各県の市長会と町村会の会長で、柳井市の井原健太郎市長と和木町の米本正明町長が当てはまる。

 市町の首長に案内状を送るケースは他にもある。事務局の担当者は「別枠として、遺族の関係者や故人にゆかりのある方にも送られている」と説明する。安倍氏の選挙区だった衆院山口4区内の下関市と、安倍家の墓もある長門市には届いている。長門市の担当者は「どの範囲で送られているのか不明だが、一番は地元だからだと思う」と受け止めていた。

 田布施町には安倍氏の祖父の故岸信介元首相の墓がある。光市には同市出身で初代首相の伊藤博文を紹介する伊藤公資料館に安倍氏が揮毫(きごう)した石碑がある。 一方、山口、周南、防府、宇部、萩市など衆院山口1、3区の市町には案内状が届かなかった。ある首長は「2区の方は岸さんの関係かね」と推察している。

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