【神奈川・真鶴選挙人名簿不正問題】真鶴町が松本町長を刑事告発 窃盗や公選法違反疑いなどで

真鶴町の松本一彦町長=6月3日

 真鶴町の選挙人名簿を松本一彦町長(56)が自らの町長選に不正利用した問題で、町は16日、建造物侵入と窃盗、地方公務員法違反(守秘義務違反)と公選法違反(職権乱用による選挙の自由妨害)の疑いで、松本町長らに対する刑事告発状を小田原署に提出した。町の第三者委員会が今年4月にまとめた報告書に従った形で町が行政トップの刑事責任を問う異例の事態となった。

 町が告発したのは松本町長と元選挙管理委員会書記長の男性(58)=昨年11月に懲戒免職。

 告発状によると、松本氏は町職員時代の2020年2月に町の文書保管庫に侵入し、19年の県知事選で使われた有権者6600人の氏名や住所などが記された名簿を持ち出し、同年9月の町長選で選挙はがきを送る際に使用した。

 さらに21年7月、元書記長と共謀し、庁舎内のパソコンの住民基本台帳から、19~21年までの死亡者や転出者、職権消除者720人の個人情報のリストを抜き出し、同年9月の町議選に立候補予定だった町議ら3人に選挙人名簿とともに手渡した、としている。

 松本氏が持ち出した名簿は実際の選挙事務に使われた原本で、投票した有権者には赤い線が引かれ、期日前投票した有権者には「期」の印が示され、実際に投票したかなどの情報も記されていたという。

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