「名古屋が栄えるから」「効果を表すためには先行開業の議論も」川勝知事vsJR東海社長 2年ぶり会談を“リニア沿線”の人はどう見た?

静岡県内で今週、SNS上で注目を集めたニュースのひとつが「知事」「リニア」「JR東海」「社長」。9月13日、2年ぶりに行われた川勝平太知事とJR東海社長とのトップ会談だ。互いに従来の主張を繰り返し、事態の進展も雪解けも見られなかった今回のトップ会談。静岡県以外の沿線自治体や住民はどう見たのか。

<記者リポート>

「名古屋駅から東から5分ほど来た場所、リニアの工事が進められている。柵の向こうに重機が見える」

川勝知事とJR東海の金子社長が2年ぶりに会談した13日、名古屋駅の周辺では、リニア中央新幹線の工事が着々と進んでいた。

<名古屋の街の人>

「名古屋が栄えるから活気が出る」

「いい方向で進んでくれるといい」

「よく東京に行く。工事が早く終わってくれるといい」

街の人の関心は高い。リニア工事が目の前で行われている寺の住職は、「静岡にもJRにも言い分があると思うが最初不安があった。両者話し合いを重ねて前に進むことができたら」と雪解けに期待を寄せる。

名古屋の多くの人が気になっているのはリニアの開業時期だ。しかし、トップ会談では…。

<JR東海 金子慎社長>

「静岡工区の着工ができていないことがこの先の名古屋開業の目途がたっていないことになっている。水の問題、南アルプスの環境保全の問題、色々やらなくてはいけないことは重々承知している。それを一生懸命やるので知事からも静岡工区の着手について、ご理解、ご協力をお願いしたいと」

<静岡県 川勝平太知事>

「まず難しいところをやって、名古屋まで完成してから初めて意味があると、それを繰り返されておりまして、私はできる所からやった方がいいんじゃないかと。500キロの体験をしたい人は出てくるんじゃないでしょうかねと言ったら笑っておられました」

2年ぶりの直接対談でも具体的な一致点を見いだせなかった。この会談をTBS系列の28局のニュースサイト「TBS NEWS DIG Powered by JNN」で、長野県のSBC信越放送は「2027年開業はますます難しく」という見出しをつけて報じていた。

一方、山梨県のUTYテレビ山梨は、会談翌日、長崎幸太郎山梨県知事の気になる発言を報じていた。

<山梨県 長崎幸太郎知事>

「工事が始まる、始められる状況を作ることは大切だが、極めて技術的には大変な難工事になる。25kmの長大トンネルですから、ある程度時間もかかるでしょう。全線開通の見通しができたあとで、少しでも早く、みんな投資をしているので回収するというか効果を表すためには先行開業という議論も出てくる」

長崎山梨県知事は全線開通を前提に先行開業の議論も必要だという考えで、JR東海と静岡県で早く問題解決の道筋を見出し、皆が祝福できる形になることを希望していると語った。

川勝知事とJR東海の金子社長とのトップ会談は、リニアの開業を期待する沿線の各県でも関心が高かった。膠着状態が続くリニア問題だが、静岡県の不安解消と沿線の開業への期待が両立するような解決方法を見出せるのはいつになるのか。

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