株式投資初心者も利益を狙いやすいインカムゲイン−−日本の高利回り銘柄は?

「インカムゲイン」という言葉をご存知ですか?

株式投資をする際に得られる利益には、配当や株主優待という保有することで得られるインカムゲインと、安い時に株を買って思惑通り値上がりしたら売ることで差益を得るようなキャピタルゲインがあります。相対的にインカムゲインでは、長期投資が想定されるので株価の短期的な上下動にあまり収益が左右されないということもあり、初心者の方でも安定的に利益を狙うことが可能といえます。

実は日本の大企業の株を持っていると、インカムゲインで5%以上の利回りが得られる、そんな銘柄が今たくさんあるのです。


インカムゲインの魅力

皆さんがイメージしやすいインカムゲインとして、定期預金などによる利息があります。一定額を預け入れることで、定期的に利息を受け取ることにより資産が増えていきます。現在は低金利時代で高いところでも0.3%程度と、預貯金のインカムゲインで資産を増やしていくのは難しいです。

冒頭でお伝えした通り、株式投資でのインカムゲインは、銘柄を保有することで得られる配当や株主優待があります。例えば、1株1,000円で利回り3%の銘柄を1単元(100,000円)保有すると、年間3,000円のインカムゲインとなります。同額を利息0.3%で預け入れても年間300円のインカムゲインですから、その差は一目瞭然です。

個人的にはインカムゲインを狙うなら、できれば5%以上の利回りがあれば、と考えます。キャピタルゲインも併せて狙う場合もあるかと思いますが、基本的にインカムゲインだけと考えるなら、最低でも3%程度は欲しいところです。

そして今、日本企業では配当利回り5%を超える銘柄がたくさんあります。そこで高利回りの例として、3つの銘柄を紹介します。
※利回りは2022年9月15日の終値を参照

高利回り銘柄(1)明和産業

まず1銘柄目は、化学品、機能材料、合成樹脂、建築資材、石油、機械、金属製品などを、国内や海外で手がけている企業、明和産業(8103)です。

化学品事業では特に高付加価値商品の開発を行っており、機能材料事業では電池材料やレアメタル・レアアース、難燃剤、水処理・環境商材などを展開。中国では三菱化学株式会社との合弁でリチウムイオン電池の負極材原料を生産しています。

石油製品事業では国内でENEOSや三菱商事の特約店として、石油製品全般の供給をしているほか、合成樹脂事業、建材事業、金属製品事業など幅広く事業を展開しています。

2022年3月期の配当が大幅増配となったことで、9月15日(木)現在で15%を超える利回りとなっており、日本株ではNo.1の利回りとなりました。

高利回り銘柄(2)商船三井

2銘柄目は、鉄鋼原料、石炭、木材チップなどを運ぶ各種専用船、原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、自動車船、さまざまな製品を運ぶコンテナ船など、多彩な分野で時代の要請に応える総合輸送グループ、商船三井(9104)です。

世界最大級の船隊と、130年余の歴史で培った経験と技術でグローバルに展開しています。2022年7月21日に業績予想を修正、2023年3月期は前回予想比で増収・増益となる見通しです。その2023年3月期の業績予想から5期連続での増配を決定しています。

配当利回りが約14%と高水準のほか、株主優待も行っており、保有株式数に応じて客船にっぽん丸のクルーズ優待券や、フェリーサービス共通クーポン券ももらえます。ただ米国がリセッションとなる局面では業績が厳しくなる可能性もあるので、その点はご注意ください。

高利回り銘柄(3)セレスポ

3銘柄目は、全国に拠点を持ち、イベント、プロモーション、スポーツ大会、式典、レクリエーションの企画、制作、会場設営、運営および進行など、セレモニーやスポーツに関わる業務全般を手掛けるイベント制作会社、セレスポ(9625)です。

「イベントを通じて自らを含む周囲の幸福を実現し、笑顔のある明るい社会づくりに貢献する」を経営理念とし、「セレモニーとスポーツ」を略した社名となっております。業種的に新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けましたが、足元では案件数が増加し、単価も上昇しており、増収となっています。

2022年3月期の予想配当を修正しており、普通配当が23円で特別配当が77円で、合わせると年間配当額は1株あたり100円。利回りは約9.6%となっています。2019年3月権利分をもって優待制度は廃止となっていますが、もしかしたらコロナが落ち着いたら優待復活も期待できるかもしれません。

株主優待の利回りが100%超えの銘柄も

婚活、カジュアルウエディング、テック、ライフスタイル、法人・自治体向けの幅広い領域で事業を展開するタメニー(6181)は、年間7,700組の成婚や結婚式に携わっているとのこと。結婚相談所のパートナーエージェントなどの婚活領域や、結婚プロデュースのスマ婚などのカジュアルウェディング領域のほか、ブライダルジュエリーや婚活事業者間会員相互紹介プラットフォーム、保険代理店、京都府へAI機能を搭載した地方自治体向け婚活支援システムであるparmsを提供するなど、多角的に結婚関連の事業を展開しているといえる企業です。

株主優待では多様な自社サービス割引を受けることができ、その利回りは100%を超えています。

100株(株価は9月15日時点で120円ですので1万2,000円の投資資金)で、パートナーエージェント・パートナーエージェント ONLINEの入会時登録料無料優待券や、LUMINOUS Les Bijoux(ジュエリー) 割引優待券30,000円分が3枚、スマ婚 割引優待券(50,000円)4枚、2次会くん 割引優待券(30,000円)2枚、ウエディングフォト「LUMINOUS」割引優待券(20,000円) 1枚、マネー相談会 参加無料優待券 1枚がもらえます。タメニーのサービスを利用したい方は、まず株主になることを検討しても良いかもしれませんね。配当はありませんが、1,000株以上保有すると「プレミアム優待倶楽部」の優待ポイントが4,500ポイント(4,500円分)もらえます。

今回は利回りにフォーカスを当てて銘柄を紹介してみましたが、投資助言や銘柄推奨でないことはご理解ください。特に株主優待は、いくら利回りが高くてもご自身が使うものでなければ意味がありません。私も配当や優待を目当てに長期保有している日本株が複数ありますが、自分が使う優待なのか、利回りは満足できるものなのかに加えて、業績や成長性、配当は増えているのか、安定配当なのかなども調べてから、自身で投資を判断してください。

ただ、利回りが10%を超えている銘柄は、株価が下落しなければとう条件付きですが、10年後には投資額分のインカムゲインを得られるので、魅力がありますよね。銘柄選びの参考になれば幸いです。

9月12日週「相場の値動き」おさらい

注目を集めていたのは9月13日(火)発表の8月の消費者物価指数(CPI)でしょう。

CPI予想は前年同月比8.1%上昇となっていましたが、結果は8.3%と予想を上振れ。6月の9.1%、7月の8.5%からは鈍化しました。

変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前年比で6.1%上昇の予想に対して6.3%、前月比では0.3%上昇に対して0.6%の上昇(前月は0.3%上昇だったので拡大)となりました。

そのほかの経済指標では、9月14日(水)発表の生産者物価指数(PPI)は前年同月比8.7%上昇と市場予想の8.8%上昇より下振れしたほか、前月の9.8%からも軟化(2ヵ月連続でマイナス)する結果に。

ただPPIコア指数は7.3%上昇と、予想の7.1%上昇を上振れました。エネルギー価格の落ち着きが反映されたようでまちまちの結果となりました。

米商務省が9月15日(木)に発表した8月の米小売売上高は前月比0.3%増と市場予想を上回りました。2ヵ月ぶりのプラスとなりましたが、変動が大きい自動車・同部品を除いた売上高は0.3%減とまちまちの結果となったことから影響は限定的だったようです。

9月16日(金)の日経平均株価は、前日比308円26銭安の2万7,567円65銭と反落。前週末9月9日(金)の日経平均は2万8,214円75銭でしたので、週間では647円10銭の下落となりました。

9月20日(火)、21日(水)のFOMCでは、すでに0.75%の利上げが折り込まれていますが、1.0%の利上げの可能性が出てきています。FRBの金融引き締め加速への警戒感、そして利上げが米景気悪化に影響を与える懸念が続く中、利上げ幅がどうなるのか注目です。来週も大きく相場が動きそうですね。

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