短歌で「遊ぼう」 25日、田辺で初心者向け教室

「短歌に親しむ人を広げたい」と語る木下のりみさん(和歌山県白浜町で)

 和歌山県の南紀短歌連盟と田辺市中央公民館は25日、初心者向けの短歌教室を市民総合センター(田辺市高雄1丁目)で開く。短歌はSNS(交流サイト)などを通じ、若者にも人気が広がっている。「短歌で『遊ぶ』感覚で気軽に参加してほしい」と呼びかけている。

 教室の講師で、連盟副会長の木下のりみさん(69)=白浜町=は「短歌は五七五七七の31音に収める以外は、自由に作れる。完成させる達成感がある。さらに作品を見返すと当時の光景や心情がビデオを見るようによみがえる」と魅力を語る。

 短歌を始めて30年。「全く飽きない。言葉の順番を並び替えたり、言い換えたりするだけで印象はがらりと変わる。いろいろ考えるので、自分を見つめ直すし、語彙(ごい)も豊富になる。人生経験を重ねると、作品に深みが増す部分もある。100歳の人の作品には味がある」。

 一方で、短歌は若者ならではのモヤモヤした感情を表現するのにも適している。「昨年、和歌山であった国民文化祭に出品された小中高生の短歌には、新鮮な驚きがあった」という。

 SNSで短文を投稿する若者にとって、短歌はとっつきやすい要素がある。結社で修業を積むような従来型でなく、ネット上で作品を見せ合ったり、同じ題材で競演したり。新たな楽しみ方も広がっている。

 「まずは何げない日常を言葉にしてみたらいい。作品を作る際は、感情に溺れない。自分を客観視することで普遍性が出て、共感も生まれる」と助言する。

 木下さんは「紀南の短歌人口は高齢化している。若い人も一緒に楽しめるようになればうれしい」と話している。

 短歌教室は午後1時半~3時半。定員は先着10人程度。申し込みは22日までに市生涯学習課公民館係(0739.26.4925)へ。同課のホームページなどに掲載しているフォームからも申し込める。

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