人が放流か、兵庫のオオサンショウウオを滋賀で発見 10年前から行方不明

【資料写真】滋賀県甲賀市水口町の野洲川

 国の特別天然記念物のオオサンショウウオが滋賀県甲賀市水口町の野洲川で捕獲された。保護団体の調査で、兵庫県で10年前から不明になっていた個体と判明し、元の生息地に戻された。人によって移動させられたとみられ、保護団体は「違法で生態系にも影響があり、やめてほしい」と呼びかけている。

 滋賀のオオサンショウウオを守る会によると、見つかった個体は体重4.4キロ、体長85センチで、健康状態は良好だった。

 同町内の野洲川で今年6月に住民が発見し、市を経由して、同会の齊藤修会長が教授を務める長浜バイオ大で保護。個体に埋め込まれた識別用マイクロチップから兵庫県三田市の武庫川水系支流で2012年を最後に未確認となっていた日本固有種の個体と判明した。採血などの健康診断の結果、健康状態に問題がないため、今年8月に元の生息地に戻されたという。

 野洲川と武庫川はつながっていないため人が移動させたとみられ、同会は「飼育しきれずに野洲川へ放流したのではないか」と推測している。

 オオサンショウウオは愛知・岐阜県以西の西日本の河川に生息する。外来種との交雑で日本固有種は減少している。同会は「オオサンショウウオを勝手に動かすのは違法で、交雑の問題や生態系への影響など懸念される。目撃情報があれば守る会に速やかに連絡してほしい」としている。

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