五輪女子日本代表選手 資金難でDM作戦 「年2000万円」活動費クリア!前澤友作氏らセレブにプレゼン

セーリング女子49erFX級でリオデジャネイロ、東京五輪に出場した高野芹奈(せな、24)が、10月に滋賀県の医療機器メーカーYMIT(ワイミット)にペアを組む山崎アンナ(22)と入社。社員として、24年パリ五輪での3大会連続出場を目指す。〝アンセナ〟は東京五輪後、活動資金難に。セレブたちにインスタでDMを送り支援を訴えていたが、報道で窮状を知った同社が支援を申し出。なりふり構わぬ作戦が、助け船を呼んだ。

高野は16日、約6年半通った関西大学の卒業式に出席。10月1日から、山崎とともにYMITに入社することを明かした。年間約2000万円の活動費のメドが立たず、崖っぷちまで追い込まれたが「セーリングの活動を、業務としてやらせていただける。本当に良かったです!」と声を弾ませた。

2021年の東京五輪後、2016年からアンセナペアを支援していた化粧品メーカー・ノエビアとのスポンサー契約が満了。活動費のほか、同社所有だったヨットが使えなくなりさらに約1350万円の購入費が必要に。2人で貯金を出し合い、ようやく購入した125万円の中古艇はバルセロナに保管。国内に船は持っていない。

100社近くにオファーしたスポンサー探しも難航。高野は〝最後の手段〟として、世界中のセレブになりふり構わずDMを送った。宇宙に行った前澤友作氏をはじめアリアナ・グランデ、ジョニー・デップ、ジャスティン・ビーバー、テーラー・スウィフト、ビヨンセ…など、そうそうたるメンバーに活動支援をプレゼンした。

6月10日に都内で開いた会見で、高野が資金難とともに「セレブへのDM作戦」を吐露すると、テレビやスポーツ紙が大きく取り上げ、1面に掲載した全国紙もあった。セレブたちからの返事はなかったが、報道を見てアンセナペアの窮状を知ったYMITの社長が、活動支援をオファー。大学卒業の数日前に、入社が決まった。

五輪に2大会出場しながら、アルバイトをして活動資金の足しにしていた高野は「あの会見から、流れが変わった。いろいろメディアが取り上げてくれて、YMITからのサポートしたいとお声がけがあった」と、捨て身のぶっちゃけトークを振り返る。

2023年からは、パリ五輪の出場権争いがスタート。立ちはだかった資金面での荒波を、なんとかクリアした高野は「出場権を獲ることが目標。パリ五輪では、メダルレース(決勝)に出たい」と、マルセイユの海へ進路を定めていた。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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