上越沖で調査開始 表層型メタンハイドレート採掘へ前進 26日まで産総研

 上越沖の日本海に存在が確認され、実用化が期待されているメタンハイドレートについて、産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)は、17日から26日までの日程で、上越沖の特定の海域における海底の地盤強度調査を行う。現場の地盤強度を確かめることで、メタンハイドレートの回収に必要な技術開発を前進させるだけでなく、掘削が海底の生態系に与える影響も調べることにしている。

今回の研究の位置付けについて、報道陣の質問に応じる産総研の天満氏(左)と鈴村氏(16日、直江津港)

 調査は海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の海底資源掘削船「ちきゅう」(約5万7000トン)を用い、上越市から約40キロ北の日本海にある海底構造「上越海丘(かいきゅう)」「海鷹海脚(うみたかかいきゃく)」でそれぞれ2カ所ずつ、海底を掘削してサンプルを採取。さらに地層の物理的特性を記録することにしている。また、過去の調査でメタンハイドレートが存在する地点には多量のズワイガニなどの生息が確認されていることから、掘削が生物に与える影響も探る。
 上越沖のメタンハイドレートは、海底にガスが噴出している穴(ガスチムニー)の周囲に氷のように固まっていることから「表層型」と呼ばれる。資源エネルギー庁は産総研に委託し、2013~15年度にかけて上越沖や能登半島西方沖他で調査を行い、16年には海鷹海脚中西部に存在する表層型メタンハイドレートの量を、メタンガス換算で約6億立方メートルと試算した。 
 産総研は表層型メタンハイドレートの採掘を、大口径ドリルによる鉛直掘削方式でできないか検討している。16日、直江津港で報道陣の取材に応じたメタンハイドレートプロジェクトユニットの天満則夫総括研究主幹は「生産技術を検討する上で、海底下の地盤強度を知る必要がある」と調査の意義を述べた。
 また掘削が生物に与える影響について、環境生理生態研究グループの鈴村昌弘上級主任研究員は「1カ月前に事前調査を行った。地盤強度調査の1カ月後に事後調査を行い、漁業生物や生態系にどのような影響があるのか調べていく」と話した。

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