れいわ・大石あきこ議員と極左暴力集団|山口敬之【WEB連載第16回】 7月26日、大石あきこ氏を名誉棄損で提訴した。派手な宣伝や告知はせず粛々と手続きを進めてきたが、大石氏は私の訴状を受け取るや否や、YouTube動画をアップロード。裁判費用を捻出するためのカンパまで募っているという――。「大石あきこ」とは一体どういう政治家なのか。

なぜ大石あきこ議員を訴えたのか

私は今年7月26日、れいわ新選組(以下れいわ)なる国政政党の大石晃子(あきこ)衆議院議員を名誉毀損で東京地方裁判所に訴え出た。

それは大石氏が2019年12月、以下のツイートを連打したからだ。

ジャーナリストとして活動している私は、様々な案件について、様々な人から、様々な批判をいただく。批判の中には大変参考になるもの、大変勉強になるものが数多くある。正鵠を射た批判は、私の記者活動を反省し精進する非常に貴重な機会であり、大変ありがたい。

しかし大石氏のように、面識のない私を呼び捨てにし「クソ野郎」と断定するツィートは、批判ではなく憎悪に満ちた悪口であり、誹謗中傷である。

「計画的な強姦を行った」は事実無根の捏造発言

しかも大石氏は「計画的な強姦を行った」と断定した。私はそんなことは絶対にしていない。

そして伊藤詩織氏側ですら計画的な強姦など一度も主張したことはなく、「警察・検察の捜査」「検察審査会の審議」「東京地裁・東京高裁・最高裁判所の全ての審理」においても一度も認定されておらず、議論されたことすらない。

新聞やテレビ、さらに過激かつ辛辣な週刊誌ですら、「計画的な強姦」とする報道や主張をしたことは一度もない。大石氏は、どのメディアも一切伝えたことのないことを根拠なく付け足して、私の名誉を著しく毀損したのだ。また、大石氏は私の一部訴訟を「スラップ訴訟」と断定的に表現した。

私はこの5年間、様々な誹謗中傷を受け続けてきた。警察・検察・検察審査会の厳正な捜査・審査の結果不起訴が確定したにもかかわらず、「レイプ犯」「薬物強姦魔」などという誹謗中傷がネット上に飛び交った。

私と私の家族は深く傷つき続け、老父は失意の中で一昨年、静かに息を引き取った。

そして、一般のSNSユーザーに歪曲した情報を刷り込み、事態を悪化させ続けてきたのが立憲民主党、社民党、れいわといったリベラル野党の国会議員や関係者だった。

私は現在どの組織にも属しておらず、自営業として記者業を営む民間人である。

民間人が国政政党やその関係団体の悪意を持った情報発信などによって誹謗中傷を受け続けている時、できることは極めて限られている。ほとんど唯一といってもいい有効な手段が、訴訟提起である。

だから私は今、大石氏以外にも立憲民主党の
・有田芳生(前参議院議員)
・宇都宮優子(大阪府第12区総支部長)
などを名誉毀損で訴えており、現在審理が進められている。

日本国憲法はその32条で、全ての国民の裁判を受ける権利を保障している。私が伊藤詩織氏に対して起こした名誉毀損訴状の損害賠償請求額は、伊藤詩織氏の虚偽の申告によって私が失った収入の総額を弁護士が積算したものである。

私と私の家族に向けられる継続的な激しい攻撃に何とか歯止めをかけたいと考えて、憲法で保証された権利を行使して起こした裁判を「スラップ訴訟」ということ自体が、重大な名誉毀損である。

社民党かられいわへ 政党移籍の背景

大石あきこ氏は、れいわに所属する国会議員だ。

昨年秋の衆議院議員選挙で大阪5区から出馬したが、定員一名の選挙区で公明党と共産党の候補に敗れて3位と惨敗。得票数は当選候補の3分1しかなかったが、比例の近畿ブロックでも重複立候補しており、れいわが獲得した1議席に滑り込んだ。

しかし、大石氏は2019年4月の大阪府議選には社民党と新社会党の推薦候補として大阪市淀川選挙区から出馬している。定員2名の選挙区に3人が出馬したが、大石氏は最下位と惨敗し当選はならなかった。

元々大阪府の職員だった大石氏は、社民党から大阪府議選への出馬を促されて府を退職したと言われている。本来社民党に所属していたはずの大石氏が、なぜ昨年の衆院選ではれいわから出馬したのか。

このナゾを解くカギを握っているのが、斎藤まさし(本名・酒井剛)という人物だ(下記動画左から2人目)。

上智大学在学中の1970年代から新左翼の極左活動に参加していた斎藤氏は各種のインタビューや対談で国際テロ組織「赤軍派」への共鳴を公言、「革命一筋。この30年間他に何も考えたことはない」「僕は革命のために選挙をやっている」「目的は革命なんだから、最終的には中央権力を変えなければならない」と述べ、極左思想に基づく政府転覆を目指す意向を隠していない。

1980年代以降は菅直人など旧民主党左派や旧社会党勢力と連携。「市民の党」という左翼政党を率いる傍ら、立憲民主党・社民党などと組んで国政選挙や地方選挙で極左活動家を出馬させてきた。

2011年4月に行われた三鷹市議会議員選挙では、代表を務める市民の党から、赤軍派のよど号ハイジャック事件で国際手配を受けている森順子氏の長男・森大志氏を出馬させた。

森大志擁立について斎藤氏は「北朝鮮でよど号の人間や娘たちと会った」「その中には森大志の姉もいた」「そうした縁もあって、長男が帰国してきてからつながりがあった」と述べ、今なお数多くの無辜の市民を惨殺した極左テロリスト集団である赤軍派の残党と連携していることを公言している。

今年の夏、唐突に外国人に住民投票の投票権を与える制度を強行しようとした松下玲子武蔵野市長を「政治家にした」のも斎藤氏だ。

2005年の東京都議選で、旧民主党の菅直人前代表と結託して、民主党候補を下ろして松下玲子氏
に一本化し、当選させたのだ。

武蔵野市では、松下市長の唐突な外国人参政権拡大について違和感を表明した米穀店が過激な営業妨害を受けるなど、不穏な事態が続いている。

そして、2012年以降は山本太郎氏の国政進出を強力にサポート。山本太郎氏が「れいわ」を立ち上げる際には事実上のブレーンとして党綱領の策定や選挙戦略について山本氏へのアドバイスを続けた。

斎藤氏は2015年4月の静岡市長選で公職選挙法違反で逮捕され、懲役2年の有罪判決を受けたが、執行猶予がついたため収監されなかった。

この後も各地の地方選に事実上、市民の党に所属する候補者を「無所属」としてステルス出馬させる一方、立憲民主党左派、社民党、れいわの国政選挙についても暗躍していると言われている。

極左関連の集会で演説した大石あきこ

大石氏は大阪府職員だった2018年2月、「連帯ユニオン」という労働組合の「議員ネット」集会に参加。2019年、2020年も参加し、2020年は議員でもないのにスピーチしたことがわかっている。

連帯ユニオンは、辻元清美氏や福島瑞穂氏など社民党系の議員と関係の深い「関西生コン」をルーツとする攻撃的労組だ。大石氏が参加した連帯ユニオンの集会には「関西生コンのドン」と呼ばれた武健一氏も出席している。

関西生コンは正式名称を「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」で、生コンクリートの調達を巡り、工事を妨害したとしてこれまでに延べ89人が逮捕されている。 このうちの一部被告については、9月13日の論告求刑で検察は最高で懲役8年を求刑したばかりだ。

そして、連帯ユニオンは中核派や革マル派など、過去に多くの殺人事件やテロ事件を起こしてきた極左暴力集団との深い関係が指摘されている。

例えば中核派は2017年11月27日発行の機関紙『前進』(2897号)の中で、「関西生コンの闘いに学ぶ」と題して、関西生コンの犯罪行為を称揚し見本とすべきと主張。それぞれの集会に互いの幹部が出席して革命のための暴力を厭わない姿勢を共有している。

統一教会は絶対ダメで極左暴力集団はOKなのか

れいわ代表の山本太郎氏は、統一教会問題について以下のような見解を発表している。

「ここ(旧統一教会)と距離を置かない政治なんてあり得ない。これだけの多くの被害者を生み出して、この国に生きる人々からしぼりとったおカネ、かすめとったおカネ、だまして奪い取ったおカネというものを、韓国側にも流されているわけですよね。こういうことはあり得ない」

「反社会的勢力と手をつなぎながら政治に関わり続けることはありえず、そういう人たちには退場してもらうしかない」

中核派や革マル派はかつて数々の内ゲバ殺人事件を起こしたばかりでなく、資本主義社会を殺人などのテロ行為によって転覆することを目標としている極左暴力集団である。

令和2年の警察白書では、中核派と革マル派は合わせて10,200人の組織活動家がいて、爆破や殺戮、盗聴などテロや犯罪行為を行う非公然組織を持っていると明記している。

そして「関西生コン」は威力業務妨害や恐喝などで延べ89人もの逮捕者を出していて、彼らのターゲットとなった民間企業や関係者に数多くの被害者が出ている。

自民党の議員は、統一教会本体のみならず、関係があったとされる団体でスピーチをしたり電報を送ったりしだけで激しく批判され、「距離が近い」「ズブズブ」などと攻撃されている。

れいわ代表である山本太郎氏が「多くの被害者を生み出した統一教会と距離を置かない政治はあり得ない」と主張するなら、自党の政策審議会長を務める大石氏が、中核派など極左暴力集団や89名もの逮捕者を出した関西生コンと関係の深い団体で演説したことについても、きちんと説明する義務がある。そして、大石氏自身も、国政政党の幹部として説明責任は免れない。

そもそも大石氏はなぜ、こうした極めて危険な極左暴力集団や、89人もの逮捕者を出した巨大犯罪に関与する組織で演説したのだろうか。

はっきりしているのは社民党から出馬する前の大阪府職員時代から、連帯ユニオン幹部と関係があったということである。さもなければ、組合の大きな集会に呼ばれることも、演説のマイクを託されるはずもない。

大石氏の演説風景を捉えた写真の背景には、「革命」「反原発」「打倒」の文字が躍る。

極左暴力集団や新左翼の特徴を色濃く映していると共に、旧民主党や社民党、れいわの黒幕である斎藤まさし氏との親和性は隠しようもない。

世の中を騒擾させるテロ支援政治家

大石氏が私を激しく誹謗中傷するツィートをしたのが2019年12月。この事実を知った私はできるだけ早く訴訟提起することを望んだが、諸事情により今年の初夏までは裁判の事前準備が終えられなかった。

そして、私としては7月の参院選に影響を与えることは本意ではなかったので、投開票の後の7月26日に正式に提訴した。

これは、裁判というのは政党や政治家の思惑に左右されることなく、静かな環境の中で審理が行われるべきであるという考え方に基づいた判断だ。

だから私は大石氏や有田芳生氏など政治家に対する名誉毀損訴訟を提起する際にも、派手な宣伝や告知はせず粛々と手続きを進めた。

ところが、大石氏は私の訴状を受け取るや否や、YouTube動画をアップロードした。

そして、裁判費用を捻出するためのカンパまで募っているという。

大石氏を含む国会議員には、約2180万円の給料(歳費)に加えて、月100万円年間1200万円の文書通信交通滞在費、65万円の立法事務費、年間約635万円の賞与やJR、航空券の無料クーポン券が与えられている。

公設秘書の給与を含めると、国会議員一人当たり、月約573万円、年約7500万円のコストが国民の税金から支払われている。

大石氏がTwitterに書き殴った根拠なき誹謗中傷に私が対抗する手段は訴訟提起しかない。訴訟はどんなものであれ精神的にもコスト的にも普通の人間には非常に厳しい。それなのに大石氏は私の一部訴訟を「スラップ訴訟」と誹謗した。

スラップとは、社会的強者が、社会的弱者に対して、言論の封圧や威嚇を目的として行われるもので、「恫喝訴訟」とも呼ばれる。

大石氏ら国庫から約7500万円の直接的サポートを受けている国会議員で、所属する「れいわ」は国庫から4億1300万円の政党助成金を得る。

いかなる組織にも所属せず細々と記者業を営んでいる私と、国政政党の国会議員として国庫と支援者から強力なサポートを得ている大石氏のどちらが社会的強者かは、言うまでもないだろう。

9月20日には大石氏との裁判の第一回法廷が開かれる。特に裁判所から求められているわけでもないのに、大石氏は出廷して記者対応もする予定だという。

私という民間人を無根拠に罵倒し、やむなく私が起こした訴訟までマスコミやYouTubeを使って集金・売名活動に使う大石氏。

その出自と政党遍歴が示す通り、「自己の利益と目的実現の為には手段を選ばない」という意味において、革命家やテロリストとの深い親和性を感じるのは私だけだろうか。

著者略歴

山口敬之

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