静岡県沼津市で、沖縄県特産の「海ぶどう」の生産に向け、今、準備が進められています。
<廣田昭由記者>
「沖縄特産の『海ぶどう』。この海ぶどうをこれから生産する場所は、元小学校のプールです」
静岡県沼津市の旧内浦小学校です。2021年春、近くの小学校との統合で147年の歴史に幕を下ろしました。その廃校となった小学校のプールを再利用して、これから「海ぶどう」を養殖しようというのです。
プールはビニールハウスでおおわれていますが、あちこちに当時のままの姿が残っています。
<しずおか海ぶどうLABO.庄司昌弘場長>
「海ぶどうの養殖や養生に必要な排水の設備が備わっているので、初期費用が抑えられるし、沼津市の使っていない施設を再利用することでまた活性化したらいいなと思って」
プールには、もともと排水設備があるため、多くの海水を使うのにはぴったりでした。
<しずおか海ぶどうLABO.庄司昌弘場長>
「こちらに養生している海ぶどうが入っています」
<廣田昭由記者>
「ぷかぷか浮いているんですね」
<庄司昌弘場長>
「こちらが海ぶどうですね。宮古島から届いたもので、ここで養生して元気を与えて再出荷するという形。今後こちらでも養殖して植え付けて沼津産のものを作ってしっかり取り組んでいく」
沖縄特産の海ぶどうは、関東などに空輸されています。沼津で生産すれば、輸送によって出るCO2を減らすことができ、費用も抑えられます。また、短時間で運べるので、傷んでしまう商品を減らすこともできます。
<廣田昭由記者>
「弾力があってプチプチ音がするくらい。おいしいです」
使う水は、駿河湾の海水です。プールから海までは約200mで、いつでも新しい海水が手に入るのも大きなメリットです。運営する会社は宮古島にも施設があり、時期によって台風の影響を受けるため、沼津で生産すれば安定して出荷できます。この取り組みは、プールを所有する沼津市にもメリットがあります。
<沼津市まちづくり政策課 宮下俊希主任>
「遊休化した資産を活用していただけることで、市の新たな歳入や集客、雇用の創出など多くのメリットが期待できる。また沼津産の海ぶどうという新たなブランドで地域の魅力が向上することを期待しています」
今は準備段階のため、宮古島でとれた海ぶどうをこのプールで回復させて出荷していますが、9月末から本格的な養殖を開始する予定です。
<庄司昌弘場長>
「沖縄の名産である海ぶどうを沼津で作ることで、沼津の新しいブランドとして沼津産の海ぶどうを作っていけたら、地域も活気づくと思いますし」
環境にやさしく新たな地域ブランドの可能性を秘めた沼津産の「海ぶどう」。この秋から、食卓に届けられます。