【SNS特報班】新型コロナ5類引き下げ

 新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられたら、医療費を払わなければなりません。亡くなる人もまだ多く、2類相当を維持するべきではないでしょうか。新富町・パート従業員男性(60)
確立した治療薬 流通進まず 時期尚早
 新型コロナウイルス感染症は現在、感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」に分類される。国や自治体は新型コロナ感染者に入院勧告や就業制限を要請でき、入院先は指定医療機関となる。また、外出自粛要請など2類と同等以上の措置も取れるため「2類相当」とされる。検査や治療費は国が全額負担する。
 新型コロナが季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられた場合、入院勧告や健康状態の報告、外出自粛要請、就業制限がなくなり、一般医療機関への入院となる。ただ、検査や治療費は保険診療となり自己負担が発生する。
 質問を寄せた男性は「コロナ禍で社会的に困窮度合いが高まっている。保険診療になれば治療費や薬代など負担は重い」と訴え。さらに「コロナで亡くなる人が国内で連日100人以上という現時点ではまだ、5類への引き下げは早いのでは」と疑問を呈する。
 一方、現在の流行「第7波」では、オミクロン株派生型「BA・5」によるかつてない規模の感染拡大で、医療機関や保健所の業務が逼迫(ひっぱく)。政府は自宅療養期間を短縮し、感染者の全数把握も26日から全国一律で簡略化する。
 重症化リスクが以前より下がっていることから、一部の知事や国会議員からは5類に変更すべきだとの発言も相次いでいる。
 5類引き下げのメリットについて、感染症に詳しい串間市民病院の江藤敏治病院長は「行動制限がなくなるため、社会経済活動が円滑になる」「感染しても、かかりつけ医など一般の診療所を受診できるようになる」と説明する。
 一方で、デメリットについて「就業制限などがないため、職場や学校でのクラスターが多発し、社会にまん延する恐れがある」としてさらなる感染拡大を懸念。「5類になれば、マスクやワクチンなど一人一人の高い感染防御意識がますます求められる」と話す。
 その上で「現時点では確立した治療薬が流通しておらず、努力義務となった5~11歳のワクチン接種も進んでいない。流行『第7波』が収束していない今、5類に引き下げるのは時期尚早だろう」と話した。

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