渋沢栄一の「最も楽しいこと」は…初公開、晩年の書など展示 あの人物の「辞表」も 深谷で来月23日まで

収蔵品展は半分が初公開=埼玉県深谷市の渋沢栄一記念館

 埼玉県深谷市下手計の渋沢栄一記念館で、同市出身の実業家、近代日本経済の父と呼ばれている渋沢栄一が亡くなった年に書いた書などを展示する収蔵品展が10月23日まで行われている。12点が展示され、半分が初公開の資料。

 昨年度に寄付された新規収蔵品や公開機会のなかった資料を展示する。書額「為善最楽」は、栄一が亡くなった1931年に書いたもので、「善い行いをすることが最も楽しいことである」という意味。息子の秀雄の求めに応じて書いた書軸もある。

 500を数える会社や社会福祉公共事業に関わった栄一は数多くの演説や講演もしてきた。現在の渋沢栄一記念財団の前身で、09(明治42)年に竜門社の会員に向けた訓示を収録した冊子なども並ぶ。

 栄一に学問を教えた、いとこの尾高惇忠が、富岡製糸場退官後に務めた第一国立銀行の辞表の下書き、それに対する銀行と栄一からの聞届け書も見ることができる。29(昭和4)年11月11日の平和記念日に栄一がラジオ放送で演説した下書きの文章「休戦記念日について」も展示されている。

 同館では「資料を通して栄一翁の考えや思いを感じてもらいたい」と話している。

 休館日は29日。開館時間は午前9時~午後5時、入館は同4時半まで。入場無料。新型コロナウイルス感染症予防対策で事前の予約が必要になる。

 問い合わせは、同館(電話048.587.1100)へ。

© 株式会社埼玉新聞社