役所広司、割烹着姿で子育て奮闘の親バカ役 宮沢賢治に菅田将暉 森七菜共演 「銀河鉄道の父」公開決定

門井慶喜の小説「銀河鉄道の父」が、役所広司主演、菅田将暉、森七菜共演で映画化されることが決まった。2023年ゴールデンウィークに劇場公開される。「八日目の蟬」「いのちの停車場」などの成島出監督がメガホンを取る。

「銀河鉄道の父」は、門井慶喜が大量の宮沢賢治に関する資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、宮沢賢治の生涯を父親の視線を通して描いた作品。第158回の直木賞を受賞した。2016年に小説が発売されたあと、2017年から映画化プロジェクトは動き出し、役所広司、菅田将暉、森七菜のキャストが集い、6年越しの映画制作が実現した。

主演の役所広司が演じるのは、宮沢賢治の父・宮沢政次郎。父の代から富裕な質屋を営む、責任感と情熱のある明治の男だが、長男・賢治が生まれると、明治の男には珍しく子育てに熱心で子供にはめっぽう甘い姿を見せる。公開された場面写真では、割烹着姿で子育てに奮闘する姿が切り取られている。

菅田将暉は、宮沢賢治役を丸刈り姿で演じる。本来は長男として質屋を継ぐはずが、反発して学力もないのに学問の道へ進み、さらには商人の家系にもかかわらず農業や宗教の道に進みたいと希望。わが道を行く親泣かせな姿を体現する。森七菜は、父・政次郎と長男・賢治という人間味にあふれる親バカ・ダメ息子によるユーモラスで苛烈(かれつ)な闘いの日々の中で、2人がうまくいくように指南するなど、賢くしっかり者の妹トシ役を演じる。

役所広司らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■役所広司
原作に、宮沢賢治の父政次郎のことを「厳格だが、妙に隙だらけの父親だ」というような一文があり、これを手がかりに息子であり、作家宮沢賢治の大ファンの男を演じてゆこうと思いました。
また、この人物を作り上げる為に「花巻弁」を聞き取れるギリギリまで攻めてゆけば強力な武器になると信じ頑張りました。
成島組に集まったスタッフ、キャスト、素晴らしいチームでした!

■菅田将暉
クランクイン前に、岩手県花巻市に行きました。
町の至るところに、宮沢賢治さんの言葉や生きた証が残っていて、その残り香を感じることができました。
ひとりの生き様が約100年後の今なおこれほど土地に影響を与えている。
そして、その言葉や思想、物語は海を渡り世界中に伝わっている。
改めてそんな事を思うと、あまりにも大役で身が引き締まる思いでした。
しかし今回はその家族のお話です。賢治の父や母、妹、弟、祖父、家族との時間がいかに彼の人生にとって大切であったか。
偉大な作品の裏側を想像すると、ひとりの何者でもない青年にも見えてきました。
役との出会いはいつも不思議な縁を感じますが、今回ほど出会えて良かったと思わされた現場も珍しいように思います。
過不足なく演じることは不可能かもしれませんが、自分なりに宮沢賢治と真摯に向き合わせて頂きました。
どうか、宜しくお願いします。

■森七菜
今回宮沢賢治の妹宮沢トシを演じさせていただくことになりました。森七菜です。「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」など、あの名作たちが生まれた時間を肌で感じることが出来た事は、今後の人生においてもとても貴重で豊かな経験になりました。宮沢賢治作品は国語の教科書などで読んだりもしていたので少し難しく考えてしまっていましたが、そんな若い世代の人にも、宮沢家の暖かく愉快で人間味溢れる時間が描かれたこの作品を通して、より宮沢賢治作品を楽しめるきっかけにもしていただけると思います。

■監督・成島出
どんな時代でも、親は子の心配をし、振り回されるものです。それは、国民的作家、宮沢賢治の父にも当てはまりました。
門井慶喜さんの原作で描かれている、宮沢賢治の父・政次郎の"父でありすぎる"人物像に魅了されました。そして、ダメ息子だった賢治が、生きる道を見つけ、若くしてその生涯を閉じるまでを、底なしの愛で包み込んだ宮沢家の人々に、普遍的な家族の絆を感じました。
役所広司さんの大らかで人を惹きつける父・政次郎、菅田将暉さんの繊細で透き通ったガラスのような息子・賢治、森七菜さんの賢明ではじけるような輝きを放つ妹・トシに、ご自身の家族や大切な人を想いながら観て頂けたら幸いです。

■原作・門井慶喜
子供が親を選べないように、親も子供を選べない。生まれてくるのは天才か、努力家か、それとも生活能力のない夢想家か。
宮沢賢治はそのすべてだった。ありあまるほどの生活能力を持ち、家の将来に全責任を負わなければならない父・政次郎との共感。衝突。その向こうにあるものの輝き。
この世には、親子の数だけ銀河がある。私は今回の映画化をもっとも楽しみにしている者のひとりです。

【作品情報】
銀河鉄道の父
2023年 GW 全国公開
配給:キノフィルムズ
©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

© 合同会社シングルライン