西九州新幹線23日開業、長崎が身近に 乗り換え含む所要時間検証 熊本ー長崎が最速1時間29分

JR九州の車両基地に並ぶ西九州新幹線「かもめ」=11日、長崎県大村市

 武雄温泉(佐賀県武雄市)-長崎(長崎市)を結ぶ西九州新幹線が23日、開業する。武雄温泉から九州新幹線の駅がある新鳥栖(佐賀県鳥栖市)までは未着工のため、在来線特急とのリレー方式を採用。JR九州は博多-長崎の所要時間が30分短縮され、最速1時間20分になるという。熊本-長崎も同程度の時間短縮になりそうだが、乗り換え時間を含めた所要時間はどうなるのか。JR九州の切符予約サイトを利用して検証した。

 熊本県内からJR線で長崎に向かう場合、新鳥栖か鳥栖(同市)での乗り換えが一般的だ。

 現行ダイヤで、九州新幹線に乗って新鳥栖で在来線特急に乗り換える往路とその復路の所要時間をみると、最速は復路の熊本着で1時間59分と2時間を切っている。ただ、これは途中停車駅が少なく、乗り換えのための待ち時間が短いケース。実際には熊本発着は2時間台前半が中心だ。他の県内3駅を含め、接続のタイミングが悪いと、3時間前後かかる。

 では西九州新幹線の開業後はどうなるか。新鳥栖に加えて武雄温泉での乗り継ぎが必要になるが、最速の所要時間は県内4駅とも博多-長崎と同じく30分短縮され、2時間を切るようになる。最速以外でも新玉名と熊本発着は1時間台が増え、長崎に急ぎの用がある人には重宝されそうだ。

 西九州新幹線の最高速度は260キロ。在来線特急に比べて2倍近い。その分、時短効果が見込めるが、新幹線料金が新たに上乗せされるため、県内から新幹線を利用して長崎に向かう人がどれだけ増えるかは見通せない。

 熊本と長崎を結ぶ公共交通機関として人気が高いのは高速バス「りんどう号」だ。熊本駅前-長崎駅前の所要時間は途中の休憩時間(計30分)を含めて4時間弱。新幹線より時間はかかるが、乗り換え不要なのがメリット。同区間の運賃も大人4200円だ。

 「りんどう号」を長崎県営バスと共同運行する九州産交バス(熊本市)は「速達性より価格で選ぶ利用客もいるので悲観していない」と強調する。九州新幹線の全線開業による利用減が懸念された熊本-福岡間の高速バス「ひのくに号」が新幹線開業後、利用客数を伸ばした経緯があるからで、「逆に九州外から観光客が増えることで地域やグループへの経済効果も期待できる」とした。

 長崎方面は海路も充実しており、移動はマイカーによるフェリー利用も多い。高速フェリー「オーシャンアロー」(熊本-島原)を運航する熊本フェリーも「長崎市から島原半島の温泉や観光地を巡って船で熊本入りする周遊客を増やす好機」と好意的にとらえている。

 九州観光機構(福岡市)は「ヒトとモノの往来が増え、九州全体の観光地の活性化につながる」と期待。熊本県観光振興課は「移動時間の短縮は訪問先での滞在時間延長につながり、観光消費の増加が見込める。長崎と海路で結ばれる熊本にとっては周遊性が高まることも大きなメリット」とみている。(上妻公、原大祐)

 ■新鳥栖ー武雄温泉間、着工めど立たず

 西九州新幹線は九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)の「暫定開業」の位置付け。佐賀県の反対で、新鳥栖-武雄温泉の着工のめどが立っていないからだ。

 地理的に福岡都市圏に近い佐賀県は、財政負担や並行在来線の扱いなどを理由に長崎ルートの整備に関しては当初から慎重だった。いったんは新幹線と在来線の両方の線路を走れるフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の導入を前提として整備に合意。しかし、FGTの開発は技術的な問題から頓挫した。

 その後、政府・与党、長崎県、JR九州が経済効果などを理由に全線フル規格での整備に傾いたことに対して、佐賀県は態度を硬化。現在は国土交通省と佐賀県との間で未着工区間を巡って「幅広い協議」が続いているが、大きな進展は見られない。(上妻公)

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