福井発、海洋プラごみ活用のタイルやカラビナ注目 ものづくり拠点「トンカンテラス」が商品化

海洋プラスチックごみを活用して製作し、販売しているタイルやカラビナ、ビーズ
ものづくり拠点でのバリアフリートイレ設置を計画している黒田悠生さん=福井県福井市高木中央1丁目の「トンカンテラス」

 福井県福井市高木中央1丁目のものづくり拠点「トンカンテラス」が、海洋プラスチックごみを活用したタイルやカラビナ、ビーズの販売を始めた。ごみに新たな価値を見いだすアップサイクルで生まれた商品は、熱で溶かして成形することで生まれるオンリーワンの色合いも魅力。県内各地の環境問題を考えるワークショップで活用されるなど注目が集まりつつある。

 同拠点を運営する黒田悠生さん(34)が、今春から展開する「プレシャスプラスチック福井」運動の一環。運動では“資源回収”を兼ねた海岸のごみ拾いのほか、リサイクルの促進や持ち運びができる粉砕機、成形機の製作も進めている。

 プラスチックごみは洗浄した後で砕き、熱で溶かしたものをそれぞれの型に流し込んで成形していく。拠点での販売のほか、これまでに教育学習の一環で生徒に配るグッズとしての注文や数珠ブレスレットを作るワークショップなどがあり、今後も注文が入るなど環境への意識の高まりととともに人気が広がっている。

 トンカンテラスでは3Dプリンターなどをそろえていることもあり、好きな試作の型を自作できるのが強み。「例えば、地域の運動会のメダルやオリジナルのボタンなども作れる。持ち運べる機械があるので、現地で作るところから体験してもらうことも可能」と黒田さん。「製品化が軌道に乗れば、将来的には海ごみを買い取って海を守る人の収益にもつながるかもしれない。何より、みんなが楽しんで環境を守る意識につなげたい」と話した。

 タイルは大1枚(直径16センチ)1500円、小(同10センチ)は千円。強度を保つため海洋ごみ20%、ペットボトルキャップ80%で作ったカラビナは1個500円。直径1センチのビーズは5個250円。このほか粉砕機や成形機のレンタルなどにも対応している。

 営業は原則毎週金、土曜の午前10時~午後5時。詳細や問い合わせはトンカンテラスのホームページから。

バリアフリートイレ新設へCFで資金募集

 黒田さんはトンカンテラスにバリアフリートイレや水場を新たに設置するための資金を、福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で募っている。締め切りは10月6日。

 約35平方メートルの同拠点は、3Dプリンターやレーザーカッター、各種電動工具、業務用ミシンなどを取りそろえ、ものづくり体験を提供している。原則金、土曜の営業で、4月のオープン以降これまでに約50人が会員登録し、イベントを含め延べ200人以上が利用した。

 介助が必要な家族と同居していることもあり、黒田さんは「年齢や障害の有無にかかわらず、誰もがものづくりを通して交流でき、つながれる場所にしたい」と意気込んでいる。

 バリアフリートイレや水場は、拠点横に増設する形で整備する。基礎工事や水道管、トイレ整備などCFの目標額は180万円。3千~10万円のコースがあり、返礼はトンカンテラスの利用券やプラごみをアップサイクルしたタイルなどを用意している。

 【ミラカナ】福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でさまざまなプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして2018年に福井新聞社、福井銀行、レディーフォーが連携して始まった。21年からは福邦銀行も事業に参画した。累計支援額は1億5千万円、プロジェクトの達成率は94%(22年7月末時点)。

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