土地規制法にパブコメ2760件、反対や明確化指摘 政府は方針変更せず きょう全面施行

 【東京】安全保障上、重要な施設の周辺や国境離島を対象とする「土地利用規制法」が20日、全面施行された。政府が施行前の約1カ月、国民からの意見公募(パブリックコメント)を行い、2760件の意見が集まった。法の制定自体に反対する意見やあいまいな内容の明確化を求める意見があったが、政府は案を修正しなかった。

 政府は規制対象となる行為について類型を例示しているが「類型に該当しない行為でも機能阻害行為として勧告及び命令の対象となることがある」と説明している。パブリックコメントでは、規制対象となる行為を明確に記載すべきという意見があったが、政府は方針を変えなかった。

 また、政府が調査に当たって地方自治体に情報を求める規定で(1)自治体が提供しなくてもよいこと(2)提供する場合、その個人の了承を得ること―との原則を明記すべきという意見もあった。これに対し、政府は「関係機関に提供義務を課す」「情報提供を個人に知らせることは想定していない」と否定した。

 また「調査内容を明確にすべき」との意見が寄せられた。政府は「個別の事案に即して判断する」と述べるにとどめた。

 政府は今後、具体的な区域指定に入る。米軍や自衛隊の施設が集中し、島しょ県でもある沖縄では、県民生活への影響が懸念される。政府が区域に指定すると、土地の所有者名や国籍の調査が可能になるほか、施設への妨害行為に対する勧告や罰則付きの命令を出せるようになる。(明真南斗)

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