最新鋭のリサイクル技術を使って地球の温暖化を防ぐ。そんな工場が静岡県御前崎市に建てられました。この工場が目指すのはこれまでにない資源の循環です。「サーキュラーエコノミー」と呼ばれるその取り組みとは。
うず高く積まれた黒い物質。ここに地球の温暖化を防ぐ可能性が秘められています。
<プラニック 大野仁製造部長>
「この原料は自動車を破砕したものから回収したプラスチック」
自動車を解体する際には、プラスチックを含んだ大量の廃棄物が発生します。この工場に運ばれるのはいろんなものが混じるプラスチックごみです。そのゴミをもう一度資源に戻そうと、御前崎で産声を上げたのがリサイクル企業「プラニック」。世界的な規模で環境ビジネスを手かげる企業が手を組み、新たな経済活動の在り方を導入しようとしています。
<プラニック 小池忠敏社長>
「それまでリサイクルが困難だったものを再生してまた元の自動車の部品に戻すと、いうことをやっている。資源を循環させるサーキュラーエコノミーになります」
「サーキュラーエコノミー」とは、循環型の経済システムのこと。従来の経済は、大量生産・大量消費が一直線で進む「リニアエコノミー」と呼ばれるシステムで大量の廃棄物を生んでいました。
一方、「サーキュラーエコノミー」では、資源を循環させることで究極的には、廃棄物と汚染を発生させないことを目指しているのです。
<プラニック 大野仁製造部長>
「実用化されている高度な比重選別、静電選別を用いまして、再び自動車や家電に使える質の良い再生プラスチックを作ることを目指しています」
自動車や家電からとれるプラスチックは、これまで資源としての再生が難しいとされ、火力発電所の燃料になったり、焼却処分されたりしてきました。
<プラニック 大野仁製造部長>
「こちらの比重選別技術はヨーロッパで実用化されているものを導入しまして、使用しています。国内では初めてのケースになります」
その常識を覆したのがプラニックが導入した最先端の環境技術。こちらの工場では、ヨーロッパで使われている最新鋭の機械を導入しています。
いくつもの工程を経て、廃棄物から不純物を取り除きます。原料として使える純度の高いプラスチック樹脂を高い割合で取り出すことに成功しました。
自動車部品のごみが自動車部品の材料として再び生まれ変わるのです。この仕組みを長期間繰り返すことによって新たな循環が発生。自動車部品のプラスチックが持続可能な円を描くことになるのです。
<プラニック 小池忠敏社長>
「資源を有効に使うということは新しいプラスチックを製造する過程で発生するCO2の排出の削減につながります。廃棄物の抑制でも地球温暖化防止に貢献できると考えている」
燃やすごみを減らし、新たなプラスチックの製造も抑えることができるプラニックの「サーキュラーエコノミー」。
廃棄物を出さない循環社会の実現は環境問題の解決にも大きな一歩となりそうです。