台風14号 長崎県全域で暴風、爪痕残す 7人けが、停電4万8000戸

強風で剥がれて落下した団地の屋根=19日午後2時57分、五島市三井楽町

 台風14号は、19日明け方から朝にかけて長崎県に最接近した。県内全域が風速25メートル以上の暴風域に入り、7人が軽傷を負い、家屋2棟が一部損壊。最大約1万4500人が避難した。
 長崎地方気象台によると、最大瞬間風速は雲仙岳38.5メートル、平戸35.2メートル、福江35メートルなど。雨が降り始めた17日午前9時から19日午後7時までの降水量は雲仙岳で261ミリ、佐世保で179.5ミリだった。
 県災害対策本部によると、県内19市町が避難指示、2市が高齢者等避難を発令。最大8481世帯、1万4499人が避難した。長崎、佐世保、島原、諫早、雲仙各市の70代女性、長崎市の80代女性2人の計7人が強風にあおられ転倒し軽傷。佐世保、大村両市の民家で壁や屋根の一部が破損した。西彼時津町では、時津港と長崎空港を結ぶ高速船が発着する桟橋(幅約5メートル、長さ約10メートル)の一部が破損。陸側にある橋の土台が約1メートルずれ落ちた。安田産業汽船によると、当面の間、欠航する。

駐車場が倒壊し、屋根などが直撃した車(画像は一部加工)=19日午後4時37分、佐世保市花園町

 佐世保市大和町の自営業、吉村幸生さん(54)宅の裏山の木が倒れ、屋根を突き破った。吉村さんは「花火が爆発したような大きな音を聞いた。崖が崩れたのかと思った」と話した。五島市三井楽町の市営正山団地では、屋根が剥がれて落下。駐車していた軽乗用車に接触し、車体の一部がへこむなどした。
 対馬市では、倒木で道路の通行止めが相次いだ。同市上県町の佐護川は午前4時半ごろ、氾濫危険水位(4メートル)に達したが、住宅の浸水などはなかった。
 九州電力によると、19日午前2時時点で最大約4万8220戸が停電。平戸市では同日午前8時時点で、全世帯の71.7%に当たる約1万3940戸が停電した。五島市の一部では停電の影響で19日午前11時ごろから約4時間、断水が発生。市によると、武家屋敷や上大津、下大津各地区の約1650世帯、約3100人。
 交通機関の乱れも続いた。JR九州は県内発着の特急や普通列車について安全確認後、20日始発から運転を再開。島原鉄道と松浦鉄道も安全確認の上、20日の運行を判断する。


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