長崎の被爆医師、朝長さんの原爆講話始まる 放射線「人体に長期影響」

原爆による爆風や熱線、放射線の被害について解説する朝長さん=長崎市松山町、ヒバクシャ・コミュニティ・センター

 長崎県被爆者手帳友の会会長で医師の朝長万左男さん(79)が、原爆被害の実相などを専門的に語る全10回の講話が19日、長崎市内で始まった。初回は爆風、熱線、放射線の三つの核エネルギーが、人体を傷つけるメカニズムなどを詳しく説明。特に放射線は「すさまじい長期的影響を及ぼしている」と核被害の脅威を語った。
 朝長さんは2歳の時、爆心地から2.7キロで被爆。長崎大医学部を卒業後、被爆者医療や放射線の人体影響の研究に従事した。講話は、長年培った知識を市民に分かりやすく伝えようと毎月19日(語呂合わせで「いい九の日」)に開く。
 朝長さんによると、原爆のエネルギーは爆風が全体の65~70%、熱線が15~20%、放射線が10~15%を占める。急性期の放射線障害として骨髄不全や脱毛などが出現。被爆10年程度で白血病が急増し、数十年がたっても複数のがんが増えていくことを解説した。
 朝長さんは、放射線を近距離で直接浴びた人のほかに、「きのこ雲で巻き上げられた放射性降下物を吸い込んだ人もいる」と紹介。国が定める指定地域外にいて被爆者と認められていない「被爆体験者」の問題を念頭に、「残留放射線は島原や熊本でも測定されている。内部被ばくをどう研究するか課題だ」と述べた。

© 株式会社長崎新聞社