「時が経ち意識が薄くなるだけに続けること大事」川の氾濫に土石流、竜巻…18年前の災害経験生かす訓練 “若い力”も頼り【わたしの防災】

9月、コロナ禍で久しぶりに行われた防災訓練。18年前の台風で甚大な被害を受けた静岡県伊東市宇佐美地区の訓練には、県外から移住してきた新たな力が加わりました。

「避難指示がでました。菊間駐車場まで避難してください」

伊東市宇佐美地区で9月1日に行われた防災訓練です。避難経路の確認や消火器の使い方、三角巾を使った応急手当の方法などを学びました。

<参加者>

「私こっちに越してきて初めてです。3年以上なるけど」

新型コロナの影響で久しぶり実施した防災訓練にはかつて、この地区を襲った災害を経験していない新たな住民も参加しました。

「わー、すごいことになってる」

2004年10月、伊豆半島に上陸した台風22号。大雨で伊東市宇佐美地区を流れる烏川が氾濫し、大きな被害が出ました。

<荒井栄二さん>

「売店は残ってましたけど、全部濁流が流れてまして、ここに流木が詰まっちゃったんですよ。ここが詰まっちゃったんで、水が全部こっちに流れちゃった。車が2台流れて、当時はゾッとしました。あんなことがここでも起きるんだと思って。ビックリしましたけども」

土石流や竜巻も発生し、全壊した住宅は98棟、半壊は182棟に及びました。この年は、翌週にも台風23号が襲来。地区の自主防災会が復旧活動や住民の支援のまとめ役となり、その活動が高く評価され、知事から表彰を受けました。

<宇佐美区 山下善和区長>

「連絡を取りながら、防災活動をやった。ここから指令を出せば皆さんすぐに動いてくれましたからね」

台風災害から18年。当時の記憶が薄れ、コロナ禍で思うような訓練ができない中、2022年は新たな動きがありました。

「浮田さんが新たに町内に加わりましたのでよろしくお願いします」

東京から5月に移住してきたばかりの若い夫婦がメンバーに加わったのです。

<浮田紘一さん>

「コロナになったことで移住してきたんですけど、地域密着っていうかコミュニティが形成されてたりするのは今の時代必要なことだと思うから」

<浮田里希さん>

「一人だと不安だから近所の人たちと多少なりとも交流がほしいなあと思っていたので、ご近所だったんですねみたいな、顔合わせも兼ねてるので、安心して暮らせるなと思って」

<宇佐美り山峡地区 荒井栄二自主防災会長>

「続けることですね。平成16年の台風以来、かれこれ10何年経つんですけど、だんだん防災意識が薄くなっていくんですけど、山抱えてるから、いつ、ああいった土石流災害が起きるかわからない。訓練が大事ですね」

コロナ禍で大規模な訓練はできなくても、お互いに顔が見えることで安心感につながる。防災には地域のつながりが欠かせません。

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