長崎原爆の被爆者で、核兵器使用の悲惨さを世界に伝える初代「非核特使」の山脇佳朗（やまわき・よしろう）氏が17日午後1時、肝内胆管がんと肝細胞がんのため長崎市の自宅で死去した。88歳。長崎市出身。葬儀は家族だけで営まれた。喪主は次女後藤真美子（ごとう・まみこ）さん。
11歳の時、爆心地から2.2キロの長崎市稲佐町1丁目（当時）で被爆。爆心地から500メートルの工場で働いていた父親を失った。電機メーカーを定年退職後、独学で習得した英語を生かし、世界の人々に被爆の実相を伝える「英語の語り部」として活躍。2010年9月、外務省から非核特使を委嘱された。
15年に長崎市で開催されたパグウォッシュ会議世界大会では、世界の科学者を前に、自身の壮絶な被爆体験と核兵器廃絶への願いを英語でスピーチ。19年8月9日の平和祈念式典では被爆者代表として、英語を交えて「平和への誓い」を読み上げた。
