「人材育成で長崎変革の礎に」 リンガーハット名誉会長・米濵和英さん(78)

「長崎の変革の礎として、人づくりに取り組んでほしい」と語る米濵さん=東京都内

 先ごろ長崎や諫早、大村を訪れたところ、西九州新幹線開業に伴い各駅周辺はがらっと変わっていました。
 諫早駅は、再開発ビルの中にスターバックスコーヒーなど新たな飲食店だけでなく、バスターミナルや歯科医院なども入って見違えるようです。駅を中心に便利な機能が集約されるコンパクトシティーのモデルのようにも感じました。
 長崎市は、新幹線開業に合わせてコンベンション施設などが整備され「100年に1度」と言われる大型再開発が進む一方で、路面電車なども残っています。車を使わないお年寄りも暮らしやすい、高齢化社会に適したまちとしても発展してほしいです。
 リンガーハットグループは今年で創業60周年を迎えました。創業の地を大事にしようということで、福岡で長年開いていた総会を3年前から長崎で開いています。
 長崎はやはり、他県と比べてイメージがいい。産物もいっぱいあるし、造船で培った物づくりの技術やノウハウが中小の企業にたくさん詰まっている。ただ、このいい物を引き出す人材が少ないように思います。いかに物づくりの技術を若い人たちに引き継ぎ、それをビジネスに変えていくか。どうしたら長崎のおいしい食材を国内外に売れる人材が育つのか。ビジネス感覚を備えた人材を輩出する仕組みづくりを官民で考え、元気のあるまちにしていけば面白いでしょう。
 私たちも若い人を支援するため、返済義務のない奨学金を給付する公益財団法人「米濵・リンガーハット財団」を2015年に設立しました。対象者は、長崎県と私の郷里である鳥取県ゆかりの学生や生徒で、今年で延べ107人になりました。「おかげで無事卒業できました」といった奨学生のリポートを読むと、財団を設立して本当に良かったなと思います。長崎の変革の礎として、人づくりにも一層取り組んでほしいです。

 【略歴】よねはま・かずひで 1943年、中国・山東省生まれ。鳥取県立鳥取西高卒。76年、現リンガーハット社長。2005年、会長。21年、名誉会長。


© 株式会社長崎新聞社