ウェアラブルパワーアシストスーツの開発ベンチャー、(株)ATOUN(アトウン)[奈良]が特別清算

※画像は実際の企業と関係はありません

 (株)ATOUN(TSR企業コード:642104751、法人番号:4130001037090、奈良市左京6-5-2、設立2003(平成15)年6月、資本金4000万円、代表清算人:國分昭一氏)は9月7日、奈良地裁から特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は3億5457万円(2021年3月期決算時点)。

 パナソニック(株)(現:パナソニックホールディングス(株)、TSR企業コード:570191092、法人番号:5120001158218、大阪府門真市)の社内ベンチャー制度にて発足。主に荷役作業をサポートするウェアラブルパワーアシストスーツの研究開発、製造を手掛け、これまでに「ATOUN MODEL Y」、「ATOUN MODEL Y+Kote」を発表。このほかにも、歩行を補助する「HIMICO」などの研究開発も行い、リリースに向けて動いていた。
 技術力には定評があり、荷物の移動等に際して従来2人で行っていた作業を1人で行うなどの省力化を可能とし、人手不足が深刻化するなかで今後の需要拡大が期待されていた。
 しかし、研究開発に対する先行投資が大きく赤字が続き、補助金等に依存した資金繰りが続いた。

 その後、商品化にはこぎ着けたものの、アシストスーツが注目されるに伴い安価な類似商品も出回り、販売量が伸び悩んだ。こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大以降は商談が思うように進まず、2021年3月期は売上高約2億2100万円と前年同期を大きく下回り、2億7090万円の赤字を計上。2022年3月期に入り、徐々に商談が再開し、業績向上も期待されていたが業況は改善せず2022年4月30日、株主総会の決議により解散した。
 なお、販売済みの機器の保守は、(株)アドバンス(TSR企業コード:620114304、法人番号:3150001011103、奈良県磯城郡川西町)が引き継ぐことを公表している。

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