[新潟市長の公約点検]再選狙う中原八一氏、4年の成果は?<上>市民所得

 任期満了に伴う新潟市長選(10月9日告示、同23日投開票)が迫っている。再選出馬を表明する現職の中原八一氏(63)にとっては、4年間の成果が評価される場だ。2018年の市長選では「人口減少ストップ」を最大のテーマに、10項目を基本政策とする公約を掲げた。だが、具体的な公約の達成・未達成はまだら模様。主要な取り組みについて振り返る。

◆[市民所得]政令市最下位のまま

 10項目の基本政策で中原氏が最初に掲げたのが「元気なまち新潟」の実現だ。「政令市の中で一番低い市民所得を向上させる」とし、ITなどの成長産業支援や県内外からの企業誘致を進めて雇用を生み出すと訴えていた。

 市町村税の課税状況に関する総務省の統計から新潟市の1人当たり平均所得を計算すると、中原市政下で数値は上向いている。篠田前市政だった2016年は、全国20政令市で最下位の300万1千円。それが中原氏就任後の20年には312万円に増えた=グラフ参照=。

 この間、具体的にはどんな施策に取り組んだのか。

 企業誘致の面では、市内8地区で工業団地の整備を進めてきた。市によると、計約60ヘクタールの分譲面積のうち、22年8月時点で約7割が売約済みか内定。一時は新型コロナウイルス禍で企業の進出意向にブレーキがかかったものの、その後は持ち直し、4地区は完売の見込み。8地区全てが埋まった場合の雇用は計画値で千人規模になるという。

 市内ではIT関連企業も誘致し、21年度は過去最多に並ぶ8社が進出。そのうち6社は、中原氏肝いりの事業「にいがた2km(にきろ)」が行われているJR新潟駅周辺から万代・古町にかけての地域に新たな拠点を設けた。

 22年度も既に2社の進出が決まった。現在検討中の企業も11社あり、単年度の誘致実績として過去最多を上回る見通しだ。

 ただ、肝心の市民所得を全国の政令市と比べると別の一面も見える。

 20年にかけて新潟市が数値を伸ばしたのと同様、他市も改善傾向が続き、政令市最下位からは抜け出せないままだ。近隣の仙台市、人口規模の近い浜松市との差も埋まっていない。

 企業誘致でも課題がある。8地区の工業団地への進出は、同じ新潟市内の企業による移設や増設がほとんどを占める。中原氏が公約に掲げた「県内外からの誘致」が順調に進んでいるとは言えない状況だ。

新潟市長の公約点検<中>行財政改革、もうかる農業

新潟市長の公約点検<下>子育て環境、BRT見直し

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